2人の子どもの小学校受験を経験したコラムニストの二宮未央さんも「求められているのは、型にはまった利発さよりも『素直な子どもらしさ』」と語る。

「大切なのは、親が基本的なことを教えていて、子どもにそれを素直に聞く力があるか。たとえば、『休日に家族でしたことを絵に描いてください』などの課題が出れば、家庭の雰囲気が分かってしまいます。また、『自己肯定感が強い子どもは合格しやすい』とも言われますが、自己肯定感も普段の家族のコミュニケーションで育まれるものですよね」(二宮さん)。

 いずれにしても、小学校受験は「これまでの家庭教育の総決算」という意識で取り組む必要がありそうだ。

■準備期間は最低1年?

 首都圏の私立小学校の考査が始まるのが10~11月。スケジュールを逆算して、受験対策を年中の秋からスタートする家庭が多い。

「4歳から5歳は、抽象的思考の発達が始まる大切な時期。この期間に着実に対策することで、論理的な思考力が身につきます。少なくとも1年は準備期間と考えておきたいですね」と久野さん。家庭によっては、「直前で焦りたくない」と2~3歳から入試対策を始める家庭もある。こうした風潮に久野さんは、「小さなうちから、過去問を繰り返し解かせるようなトレーニングだけでは、本当の『考える力』は育ちません」と警鐘を鳴らす。

「子どもの発達段階に合わせ、積み木やボールのような具体物を使って、楽しんで学習を続けられるような環境づくりを心がけてください」

■受験費用は150万円が相場?

 幼児教室の月謝をはじめ、教材費、模試の費用、受験料、面接服……。どのくらい総費用がかかるのか。

 野倉さんは「お金がかかるのはやはり幼児教室の授業料。ペーパー対策に加えて絵画、体操と習い事を増やすと費用がかさむので、『受験にかけるお金は月にこれくらい』と、予算を決めましょう」とアドバイスする。幼児教室の月謝を月10万円とすると、1年間で120万円。その他の費用を含めると総額150万~ 200万円が相場のようだ。

 二宮さんは、「塾代は模試だけと割り切り、家庭学習中心にすれば、お金をかけずに受験対策できます。コツコツと家庭学習を続け、年長の夏から塾に通うなど、対策の期間を圧縮して費用を抑えるご家庭もあります」と話す。

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