近年、教育の多様化が注目を集めていますが、30年近くも前から「自由教育」を掲げ、子ども主体の学びに取り組んでいる学校があります。きのくに子どもの村学園です。ここでは時間割の約半分が体験学習(プロジェクト)で、1~6年生の異年齢で1年間活動をします。「AERA with Kids秋号」(朝日新聞出版)では、学園創立者の堀真一郎さんに取材。独自の教育内容や卒業後の進路など詳しくうかがいました。
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高野山のふもとにある、入学希望者が殺到する一風変わった学校が、きのくに子どもの村学園です。1992年に創立。中学校や国際高等専修学校もあります。これまでに福井県勝山市、北九州市、山梨県南アルプス市、長崎県東彼杵町にも開校しました。
同園では、「自己決定」「個性化」「体験学習」を基本方針として独自の教育を行うのが特徴。
代表的な取り組みが、「プロジェクト」と呼ばれる体験学習です。
衣食住や命をテーマに、木工、クラフト、ファーム、料理、演劇の五つのクラスがあり、子どもたちはその中から自分の好きなものを選び、1年間活動します。
「プロジェクトは単なる体験授業ではありません。例えばファームなら米作りの活動から、植物の種類と成長、気候や土壌、食生活、貿易、世界の食糧問題など広く深く学びます。また、『かず』と『ことば』という基礎学習も、生活と結びつけて、オリジナル教材を使って行っています」
と、堀さんは話します。堀さんは教室で一斉に行われる従来の受け身の授業に疑問を持ち、「世界で一番自由な学校」と言われているイギリスのサマーヒル・スクールをモデルに、生徒が主体的に学べる自由な学校を一から作りました。
同園では「先生」と呼ばれる大人はおらず、「さん付け」やニックネームで呼ばれます。大人は役に立つ情報を渡すだけで、実際に決めるのは子どもたち。例えば、木工を中心に行う「工務店」というクラスでは、園内に巨大なすべり台を作る計画を立て、どこに何を使ってどのように作るか子どもたちで話し合い、試行錯誤をくり返しながら完成させました。
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