新年度が始まると、まもなく実施されるのが健康診断。内科をはじめ、耳鼻科、歯科、眼科と、どの科も親の想像以上に幅広いチェックが行われています。「AERA with Kids春号」では、そんな健康診断について校医の先生方に聞きました。しっかり知って、子どもの健康管理に役立てましょう!
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学校の健康診断の目的は、大きく二つあります。「ひとつめは、学校生活を支障なく送れ、教育を受けられるようにすることです」と話すのは、日本学校保健会の弓倉整先生です。
「問題があれば、受診を促したり日常の注意を指導したりと、学校生活での対策がたてられます。また、教室では子どもの席の位置を調整するなど、状態に応じた対応もとれるのです」(弓倉先生)
もうひとつの目的は健康教育。「健康教育は、自分で自分の健康を管理し、増進する力を育てることです」
検査の項目は学校保健安全法で決められており、近年ではぎょう虫検査や座高測定が必須ではなくなりました。
「時代に合わせて、内容も見直されています。安心して学ぶために、学校の健診は必須なのです」
●皮膚、背骨、運動器も内科健診でチェック
健康診断というと、校医の先生が聴診器をあてている姿が思い浮かびますが、「実は、聴診だけでなく、全身のさまざまな箇所をチェックしています」と話すのは、内科医でもある弓倉先生です。
「心音や呼吸音から、肺や心臓の病気がないか診察します。同時にアトピー性皮膚炎や湿疹など皮膚の様子、栄養状態も観察しています」(弓倉先生)
このほかにも、立ち姿や前屈姿勢などから、胸郭や脊柱、手足や関節、骨などの運動器に異常がないかも観察。限られた時間内でたくさんの項目を探ります。
「ご家庭で書かれた保健調査票も、大いに健診の参考にしているのです」
身長、体重、尿検査結果からは、腎臓病、糖尿病、病的な肥満や成長異常などの原因となる疾患のリスクもスクリーニング。
「学校の尿検査は、かつては腎臓病を見つけることが主目的でした。しかし、近年は小学生から尿糖が検出されることも増えており、生活習慣に起因する2型糖尿病を発見し、将来の重症化を防ぐことが、尿検査の大きな目的になっています」
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