矢萩:大筋、僕もそうだと思いますね。発達段階的にも、5年生前後から抽象的な思考ができるようになってくるケースが多いので、それまでは分からないですね。とはいえ、大手塾でやっていきたいという前提ならば、遅くとも4年生には決断を迫られます。僕個人としては、発達段階に個人差があるのにも関わらず、一様にその構造に合わせるのは不自然だと感じています。
安浪:そこが難しいところですよね。従来型の受験をするのであれば、5年で判断してからスタートするのではちょっと遅いですからね。だから結局、大手塾に入るのは新4年生のタイミングが王道ですし、そのために「出遅れたくない」というのであれば、学習習慣をつけておきましょう、親子できちんと会話しておきましょう、という話になってきますね。
■「出遅れないために」の発想ではなく
矢萩:僕は基本的に、「中学受験に出遅れないために」ではなくて人生に役に立つ学びを小さいうちからやっておけばいいよね、という発想です。例えば一緒に読書をするとか、親子でも適当に話さないで、そこは「は」じゃなくて、「が」のほうがいいよね、など文法も気をつけて対話をするとか。そういうことをしっかりやっておけば、基礎力はついていくので、中学受験の勉強の準備をしておく、という必要はあまりないと思っています。とくに低学年のうちは。
安浪:大手塾でいわゆる「受験コンテンツ」が始まるのは4年生からですしね。受験コンテンツ自体は4年生から学んでいけばいい。ただ、受験コンテンツに乗っかるために必要なのは、算数でいえば計算力です。塾では「計算はできるよね」という前提で授業が進んでいきますから。そう言うと、では公文に行っておいたほうがいいですか?という質問もたくさんいただくんですが、これも一概に言えなくて。公文が武器になっている子もいれば、1年生からずっとやっているのにあまり身についていない子もいます。逆に、4年生から本格的な計算演習を始めてどんどん伸びていく子もいます。本当に子どもの個別の能力によりますね。
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