3年生のテストの偏差値は「どうでもいい」

安浪: 今の時代、SNSなどで「ウチの子、全国〇位でした」という投稿を目にする機会も増えましたからね。特に低学年にこういったマウント投稿が多い印象です。でも、3年生のテストの偏差値なんて、本当にどうでもよくて、保護者の方から「うちの子、3年生のとき算数の偏差値60だったんです」って言われても、「あ、そうですか」としか思わない。正直、それが何?って感じです(笑)。

矢萩:本当に、偏差値が出てしまうのがよくない。数値があると、親は本質よりも数値を気にしてしまいますから。

矢萩邦彦さん
矢萩邦彦さん

安浪: SAPIXなどで最初から上のクラスに入っておかないと、後から苦労するのでは?という声もありますが、そうやって3年生の段階で上のクラスに入ったところで、小4からが本格的なスタート。それに、早いうちからテスト慣れしておかないと…という方もいますが、あまりやりすぎると緊張感がなくなって、逆に“だれて”くることもあります。

矢萩:本当にそう。僕自身はテストは高学年であっても年間10回くらいでいいと思っています。今はとにかく「楽しく通えているかどうか」が一番のポイントです。

安浪:お母様も「基礎を固めてゆっくり学習したい」と思っているんですよね? だったら、今のうちからテストに一喜一憂する必要はありません。そもそも大手塾のクラス分けは思っている以上に適当なものが多いですし、校舎によっても基準が違いますから。クラスがひとつ、ふたつ上下しても大したことじゃありませんよ。そういった内情も知っておくと、ちょっと気が楽になるかもしれませんね。

(構成/教育エディター・江口祐子)

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安浪京子
中学受験専門カウンセラー/算数教育家 安浪京子

やすなみ・きょうこ/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は佐藤亮子さんとの共著『中学受験の意義 私たちはこう考えた』(朝日新聞出版)。オンラインサイト「中学受験カフェ」主宰。

矢萩邦彦
中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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