「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。今回は、中学受験を控えた未就学の親御さんからの相談です。
【マンガ】中学受験「全落ち」した子はかわいそう? 大人の“勝手な思い込み”に気づかされた、子ども同士の会話(全35ページ)安浪:実は私の母は公文の先生をやっていたんです。ですから私も公文は物心ついた時からやらされていました。
矢萩:そうだったんですね。ズバリ、役に立ちましたか?
安浪:私は中学受験はしていないのですが、計算は早くなりました。ちなみに、そろばんもしてたんです。公文とそろばんは全く違うものですが、中学受験や中高の数学の計算スピードを上げるのは公文だと思います。そろばんって「かっこや四角が入った計算」はできませんが、公文は普通にこれらの四則演算が出てきますから。
矢萩:公文はどこもやり方は同じですが、そろばんはいろいろな流派があるので一概に言えないところはありますね。公文はそろばんに比べたら途中式も見られるし、中学受験の算数に近いところはあるかもしれませんが、計算以外の力も考慮するなら、そろばんは汎用性があって、かつ使える気もするんですよね。大まかに言うと、公文は左脳が、そろばんは右脳が活性化するというか。
安浪:それ、すごくわかります。公文の算数は紙と鉛筆で数字を処理していきますが、そろばんは両手と指で道具を使いながら、ですしね。
矢萩:だから、受験算数だけだと思わないで、頭のトレーニングと考えればどちらにも利があると思うんです。頭の使い方が違うから、それぞれ極めれば転用もできるし、応用もできる。
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