長男にはそんな傾向は全く見られず、むしろ勉強量が増えていくにつれどんどん嫌気が差しイライラすることが増えてきました。元来のんびりしているのが好きで、全体的にスローペースな子に人の倍速で動くことを求めることになってしまった塾通いは、どう頑張っても追いつけず無理が出てきたのです。
たかだか10歳前後の子どもに大人の価値観を背負わせて無理をさせる中学受験。何度も心が揺れながら続けていた中で、長男自身に目に見える形でストレス症状が出てしまってからは私が罪悪感でいっぱいに。しばらくすると学校の面談でも指摘されるようになり、塾に宿題の量を相談したり生活リズムの改善を試したり……でも長男の口数は減りどんどん暗くなっていき、よい変化はありませんでした。
あぁ、やっぱり受験は無理だ。そうはっきりと脳裏に浮かんだのは5年生の冬期講習前のこと。
学校行事と塾の強行スケジュールから長男が大きく体調を崩しました。しばらく学校からも塾からも解放されて安静にしているところに、相談をしていたママ友からもらった言葉が背中を押してくれたと思います。
「小学生は精神的な発達度合も個人差が大きいから、長男君は今その時じゃないのかもよ」
受験を終えた同級生やかつて中学受験を経験したママ友の話を聞くと、一緒に通う友達の成績が上がって負けず嫌いに火が付いた!とか、小学校の環境が合わなくて絶対に抜け出したかった!など、どの子も自分自身でモチベーションのカギを見つけていて、親は子をあくまでバックアップする形で完走していました。冒頭の「向いている子」の特徴の通りですね。
でもそのカギを小学生のうちに見つけられなかったからといって劣っているとか頭が悪いということでは決してないんです。本人がカギを見つける日を待つ根気が足りず、つい「早め早め」を求めてしまう親の焦りがダメなだけ。必ずどこかに持ってるはずだから早く見つけてあげたい!と思うのは親心としてはあるあるなので、高いお試し代にはなりますが入塾させてみるのも一つだと思います。ただ、今じゃないなとわかったら子どもと家庭が壊れる前にスパッと辞める覚悟は必要ですね。無理が見えているのに続けるのは覚悟ではなくただの意地……これは自戒と、長男への心からの謝罪も込めて伝えたいことです。
次のページへ笑顔が戻った長男