――1年以上の付き添い登校の末、うつ病になってしまったそうですね。
一番苦しかったのは、「不登校になれない」時期でした。校門まで行っても家に引き返したり、送っていってもすぐに迎えに行ったり、当日にならないと予定が立たないんです。自分の時間はおろか、仕事の予定すら立てられない。体力も気持ちも限界なのに、出口は見えなくて。そして子どもの不安や苦しさが痛いほど伝わってきて、一緒に泣いてしまう。「しっかりしなきゃ」「寄り添わなきゃ」と思っても、自分の気持ちがコントロールできず、息ができなくなって病院に行ったら、うつ病と診断されました。
――当時の自分に声をかけるなら、どんな言葉をかけたいですか?
「ひとりで何とかしようとしなくていいよ」って伝えたいです。専門機関じゃなくてもいい。ママ友でも、職場の人でも、近所のお店の人でも、誰でもいいから話してほしい。「うちの子、不登校なんですよ」と打ち明けたら、意外と似たような経験をしている人がいたり、話すことで気持ちが整理されたりするんです。いろいろな人を頼ってみると、必ず味方は見つかります。
――今、行き渋りや不登校で行き詰まっている親御さんに伝えたいことはありますか?
長い不登校期間を経て思うのは、「学校に行くかどうか」なんて、実はどうでもいいのかもしれないということ。学校に通える“普通の子”がよかったと思った時期もありましたが、一見普通に見える子たちも、みんな何かしらの悩みや背景を抱えているもの。一番大切なのは、子どもがいきいきと過ごせる環境を見つけること。もっと早く「どうやって楽しく生きていこうか」にシフトできていたら、こんなに悩みすぎることはなかったかもしれません。少し気持ちの持ち方を変えるだけで、親子の日々はもっと健やかになると思います。
(取材・文/高橋亜矢子)
※後編〈「“ダメな親”と言われても、それでいい」 SNS発の漫画家が語る“息子の不登校”と現在〉に続く