――2年生以降の運動会はどうだったのでしょうか?

 2年生はコロナで中止、3年生はメンタルの調子が悪くて不参加、4年生は綱引きだけ出ました。5年生、6年生も、全部には出ていません。今振り返ると、運動会ってフル参加じゃなくても、応援だけでも、参加しなくてもいいんじゃないかなって思います。

――無理強いせず、本人の意思を尊重することが大切ですね。

 もちろん基本はそうですが、子どもの言葉の奥にある心の声を聴くことも大事だと思います。もっちんは「出たくない」と言っていたけど、新しいことや身体を動かすのは好きで、「練習したダンスを見せたい」という思いもありました。単に「学校に行きたくない」と言っても、その中には「嫌なこと」「興味があること」の両方があるかもしれない。だから、親はその言葉を丁寧に分解して、何に困っていて、何に関心があるのかを一緒に探っていく姿勢が大切だと感じます。

いろいろな人を頼ってみると、必ず味方は見つかる

――運動会後も行き渋りは続いたそうですが、先生や周囲の対応はいかがでしたか?

 学校では、先生の期待に応えて行動する“優等生タイプ”だったので、家庭での荒れた様子はなかなか伝わらなかったんです。担任の先生にも「授業では発言しているし、友達とも楽しく過ごしていますよ」と言われてしまって。支援機関に相談しても、「今、学校に行けているならよかったですね」のひと言で終わってしまう。「この程度で悩んでいたらいけないのかな?」「家庭でなんとかしなきゃいけないのかな?」と、どこにも頼れず、誰にもこの苦しさをわかってもらえずにすごくつらかったです。

――そのなかで特に心に刺さった言葉はありますか?

 不登校の相談先で、「“行きたい”と言っていても身体が動かないのは、“行きたくない”という心の声なんですよ」と言われた言葉です。その瞬間、過呼吸になってしまって……。図星だったから、グサッときたんですね。当時の私は、「もっちんは戻りたいはずだから、頑張ってサポートしなきゃ」と必死で、「行きたくない」という心の声を無視して、「頑張りたい」というもっちんの言葉にすがっていました。自分の全リソースを子どもに注ぎ込んでいたからこそ、受け入れられなかったんです。でも今では、あの言葉は正しかったと思います。

次のページへうつ病になってしまった
1 2 3