10年前、長男誕生の112日後に妻・奈緒さんを乳がんで喪ったフリーアナウンサー清水健さん。現在は、10歳の男の子を一人で育てるシングルファーザーです。仕事と子育てをなんとか両立させながら、同志のような親子関係を築いてきた清水さん。親子2人が歩んできた「これまで」と「今」、そして「これから」について聞きました。※前編<清水健アナが語る、妻を亡くして10年の子育て「全然乗り越えてないし、ずっとさびしい。でも僕はいま幸せなんです」>から続く
【写真】息子さんを抱える亡き妻・奈緒さんと清水アナ(全4枚)たった2人の家族。今、息子は同志
――息子さんは小学5年生。プレ思春期に入ったなぁと感じることはありますか?
もちろんです。本当に生意気になりました(笑)。
このまえも家を出る前に言い合いをしたんです。息子はぼくの前ではシュンとしていたくせに、ぼくのいないところでブツブツ小声で不満をつぶやいていました。
後ろから「今、何て言った?」って言ったら、びっくりして「なんも言ってへん!」って顔を真っ赤にして……。思わず2人で笑っちゃいました。
――ケンカしても笑いあえるっていいですね。
生意気なのも成長のひとつだと、親としては思います。
実を言えば、ケンカしたあといつまでも機嫌が悪いのはぼくのほう。大人げない父親なんですよ(笑)。
――清水さん親子は、今、どんな関係ですか?
別に特別な親子関係でもなんでもないんですけど、この世にたった2人しかいない家族だし、父と息子だし、親友みたいでもある。
あえて言葉にしなくても自然にわかりあえる感じは、「同志」みたいな関係だなあって最近は思います。

ぼくは「助けて」が言えなかった
――シングルファーザーとしての子育ては、ご苦労も多かったのではないでしょうか。とくに息子さんが幼いときには。
シングルだろうと夫婦そろっていようと、子育に「大変じゃないこと」なんてないですよね。
それでも親が一人だと、「今日は仕事で本当に疲れた、もう何をする気力もない」っていう夜でも、息子にごはんを食べさせなくちゃいけないし、お風呂に入れなくちゃいけない。
やっと日曜日になって、「一日中家でゴロゴロしたい」っていう日でも、天気がいいと「息子を公園に連れて行かなくちゃな」って思う。ぼくが連れていかないと、息子は公園で遊ぶことができませんから。
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