たとえば「ペンギン」がテーマの場合、次のような内容を数カ月かけて学びます。
・世界のペンギンの種類と生息地を地図で調べる(地理・社会)
・種類ごとの平均的な移動速度や体の大きさを比較計算する(算数)
・生態や特徴を調べてレポートにまとめて発表する(国語・理科)
・ペンギンの絵を描いたり粘土で模型を製作したりする(図工・美術)
「娘がこのプロジェクトに取り組んでいた期間、すっかりペンギン博士のようになって、家でもペンギンの話ばかりしていました」と小松原さんは振り返ります。
クラス編制も特徴的です。1・2年、3・4年、5・6年でクラスが編成され、それぞれ2年間を同じクラスで過ごします。年下の「ヤンガー」を年上の「オールダー」がいろいろとサポートし、翌年はヤンガーがオールダーとなって、今度はサポートする側に回ります。

三者面談は子どもの「プレゼン方式」
小松原さんが大きな感銘を受けたのが、長女が小学5年生のときに経験した三者面談だったといいます。日本の三者面談では、先生と親が子どもの成績や学校での様子について話し合うのが一般的です。しかし、小松原さんが妻とともに臨んだ長女の三者面談はまったく違うものでした。
「長女が『プレゼンします』と言い、自分で作成したスライドをもとに、プレゼンをし始めたんです。その内容は、自分がこの1年間でどのように学び、何ができるようになったか、自分の強みと弱み、今後の課題についての自己分析でした。最後に先生や私たちに対して『だから、私にはこういうサポートをしてほしい』というんです」
当時、日本からアメリカにうつったばかりで、英語でのコミュニケーションに苦労する部分もあった長女。そのため、言葉の壁を乗り越えるために「わからない問題に、一緒に取り組んでほしい」といったサポートを求めたそうです。
「物心ついた時から英語に囲まれていた次女に比べて、長女は日本語の方が話しやすいんです。日本ではディスカッションがすごく好きだったのですが、英語でそのレベルまでは話せないので、思うように自分を出せていなかったのかもしれません。一生懸命プレゼンする娘を見て、思わず泣きそうになっちゃいましたね」
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