親が歳をとった時、自分の子育てを振り返ってみて、「あの時は大変だったけれど、子どもと一緒に学べて楽しかったな」と思える思い出がたくさん作れるのが中学受験です。
中学受験で見えてくる子どもの個性
私が子ども4人の中学受験を通してもう一つ感じたことは、子どもの性格を見極めるのにちょうどいい時期だったな、ということです。もちろん普段の生活の中でも子どもの個性や性格を見極めることはできますが、中学受験という真剣に勉強に取り組む機会の中で、4人それぞれの個性を改めて知ることができました。
長男は正統派の解法が好き、次男は難しい問題を力ずくで解いていく、三男は自分の独自の解法にこだわる、長女は3人の様子を観察し一番無駄のないやり方を選択する、という感じで、そばで見ていて性格がよく表れていて面白かったです。
よく、親御さんのご相談できょうだいの性格の差について質問を受けることがあります。「上の子はすぐに何でも暗記できるのに、下の子は苦手」とか、「弟は好奇心旺盛で中学受験向きだと思うのですが、お姉ちゃんは何事もゆっくりなので中学受験はやめたほうがいいでしょうか」など。
同じきょうだいでも性格が違うのは当然です。
物覚えが早く、真面目な子のほうが親としては嬉しいかもしれませんが、中学受験をする小学生はまだ小さいので、ゆっくりしている子どもには、時間をかけて丁寧に教えてあげればいいだけのことです。子どもはどんどん大きくなって変わっていくので、今の状態で全てを決めつけないようにしてください。それぞれの性格に対応して、小学校の学習内容を学ばせることが大事です。
私も、子どもをありのままに受け止めて、その状態に合わせて育てることが大事だ、と中学受験を通じて改めて感じました。

※「中学受験の意義」(佐藤亮子・安浪京子著)から一部編集
佐藤 亮子,安浪 京子

