育児は言われていることが正しいかどうかを検証するために時間がかかる、と語るのは4人の子ども全員を東大理三に合格させた佐藤亮子さん。佐藤さんと中学受験専門カウンセラー・安浪京子さんの共著『中学受験の意義 私たちはこう考えた』から、佐藤さんが大切にしている子育てについての考え方と、佐藤家の子どもたちが全員中学受験を選択した理由についてお届けします。
【表】学力の高い家庭がやっている生活習慣はこちら中学受験前の子育て観
まずは、私が大切にしてきた子育ての考え方についてお話しします。
私は長男が生まれた時からずっと10年前の子育てをしようと思っていました。
そう言うとたいてい驚かれます。「『10年後』の間違いですよね?」と言われることもあります。でも違います。「10年後ではなくて、10年前」です。
もちろんきっちり10年前というわけではないですが、常に10年前はどんな感じだったかな?と考えて、10年前のやり方でも今でも残っているもので、結果がちゃんと出ている方法や考え方で子育てをしたいと思いました。
育児にはブームがあります。長男が生まれたのは1991年。
その頃は「泣いた時にすぐに抱くと抱きグセがつく」という意見や、「母乳はなるべく早くやめて、離乳食を始めたほうがいい」という意見もありました。今では信じられないかもしれませんが、「頭の形を良くするためにうつ伏せに寝かせたほうがいい」といったものもありました。
でも、今では「そうではない」ということがわかっています。
育児は、言われていることが正しいかどうかを検証するためにはかなり時間がかかりますが、10年ぐらい経つと間違ったものは消えていくものです。
長男が生まれた頃は、ファミリーコンピュータ(ファミコン)がブームで、世間ではこれからはITだよね、と言われていました。しかし、だからこそきっちり生身の人間を育てることが大事だと思い、絵本を読んだり、童謡を歌ったりしてアナログの子育てをしっかりすることにしました。
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