ときには、うまくいかずに失敗したり、傷ついたりすることもあるかもしません。本校には、「校内カフェ」や「コイコイルーム」といった「第三の居場所」があります。学校には来たけれど、教室には行けない……そんなときは、ここで過ごすことができます。大学生など、教師や保護者以外の大人と話すことも気軽な相談から自分の生き方・あり方を構築していくことにつながるでしょう。
「自分たちの学校は自分たちでつくる」
学校行事も生徒と一緒に、生徒の企画をできるだけ取り入れようと思っています。「自分たちの学校は自分たちでつくる」のです。そのスタートとして、「校歌」を生徒たちと先生たちのプロジェクトチームで作ろうと考えています。自分で考えた案が形になるとは、どのようなことなのか。実現するまでに大変なこともあるかもしれないけれど、本当に「おもしろい」「楽しい」ことってどんなことだろうか。この話題になると、説明会の会場のお子さんたちの目がキラッとします。
ここまでお話しすると、「すべてが自由」「学校が生徒に合わせてくれる」ように思われる場合があるのですが、決してそうではありません。本校は、服装や髪型は自由です。でも、たとえば体育の授業にピアスなどのアクセサリーはケガにつながる場合があります。調理実習でのつけ爪も同様です。そこで「外しなさい」というのではなく、「この場合、どうしたらいいと思う?」としっかり「考えて」もらいます。自分で考えること。社会に出る前ステップとして、これがいちばん大切なことだと思っています。
失敗も大切です。でも、切り替えて新たな気持ちでチャレンジする。方向転換をしてももちろんいい。その「練習」をたくさん経験してほしいと考えています。私たちはその機会を準備して、生徒それぞれに合わせた指導をするということです。チャレンジスクールの基本理念をふまえて、先にお話したような本校独自の取り組みに多くの方が共感してくださり、今回の高い倍率につながったのだと思います。
――約170人の生徒たちとのスタートですね。
私たちには、生徒たちが社会の一員として、自らの力で未来を創り出せるように育てていくというミッションがあります。でも、そこに向かうまでのプロセスは、生徒によってさまざまな方法があります。生徒たちといっしょに動きながら、先生たちとその成長を見守りたいですね。
(取材・文/三宅智佳)