「なんでうちの子は学校に行けないんだろう」――。子どもが不登校になったとき、親はまずその原因を探ろうとします。しかし子どもから、すっきりとした答えは返ってこないことも多いといいます。「親から見た世界」と「子どもから見た世界」にはどんな違いがあるのでしょうか? 1980年代から約40年にわたって、不登校の子どもやその親から相談を受け、居場所づくりを支援してきた西野博之さんの著書『マンガでわかる!学校に行かない子どもが見ている世界』(KADOKAWA)からお届けします。

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果てしなき原因探し

 子どもが学校に行かなくなったとき、ほとんどの親がするのが行けない原因を探すことではないでしょうか。原因さえ取り除けばまた学校に通える、と考えますよね。そこで子どもに問いただすのですが、すっきりとした答えはなく「わからない」と返ってくる……驚くかもしれませんがこれはごく一般的な反応です。私が出会ってきた不登校の子の多くは自分でも理由がわかりませんでした。

 なかには明確に伝えてくれる子がいるかもしれませんが、そのまま受け取ることには注意が必要です。「大人はこういったら納得するだろう」とこちらの顔色をうかがいながら答えていることもあるからです。親、先生など相手によって返答を変えることもあります。

 もちろん、いじめなどが理由のときもありますから聞くことは大切です。その場合はすぐに対処すべきですが、そうでもなさそうなら原因探しはほどほどにしましょう。

 原因と結果の世界で生きる大人には不可解ですね。あえて分析すれば、本人が自覚していない感覚過敏や人間関係の不安、嫌なことが少しずつたまっているのだと想像します。教室の雰囲気などの環境要因もあるでしょう。

本やネットを検索する前にすべきこと

 親御さんの中には、原因探しのためにたくさんの本を読み、ネットも片っ端から見て、高額なお金を払って相談機関に行く方もいます。そうしてやっと原因を探し当てたとしましょう。ところが、その「原因」を解決したと親が思っても、登校できるようになるとは限りません。どういうことでしょうか。

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西野博之
西野博之

1960年、東京都生まれ。認定NPO法人フリースペースたまりば理事長。川崎市子ども夢パーク、フリースペースえん。川崎若者就労・生活自立支援センター「ブリュッケ」など、各事業の総合アドバイザー。精神保健福祉士、神奈川大学非常勤講師。86年より学校に行かない子どもや高校中退した若者の居場所づくりを行う。

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