総合学科とは、「必履修科目」(文科省が定めた、必ず履修しなくてはいけない科目)と学校必履修科目(学校が定めた履修科目)のほかに、生徒の興味関心に合わせた専門性の高い科目を選択できる「自由選択科目」から、自分が受けたいものを履修します。必ず取らなくてはいけない授業を最小限に、あとは自分の興味関心のあるものや、進路に必要なものを学ぶというスタイルなのです。

失敗もひとつの経験! 自分で考える「練習」をたくさんしよう

――2.55倍という高い倍率が話題になりました。

 開校前に何度も学校説明会を開いて、たくさんの親子が本校の理念を聞いてくれました。

 本校では、生徒が「学ぶ楽しさや意義」を大切にしたいと考えています。本来「学ぶ」とは、知識を得たり、自分の知っていることをより深めたり、知識をつなげたり広げたりと、「楽しい」もののはずです。その「楽しい」を授業や教育活動でできるだけ体験してほしいのです。

 この考え方をベースに、先ほどの「自由選択科目」も先生たちと相談しながら設置しました。自由選択科目は「こういう科目があると、将来生徒たちの役に立つね」といった科目です。本校では生活・文化系列、アート・デザイン系列、人文・自然系列の学びや、英語や数学など中学時代の学び直しの授業も科目に入っています。

 また、CG制作やメイクなどの基礎を学ぶ美容、ファイナンシャルプランやゲーム概論といった授業もあります。ゲーム概論は、ゲームをすることが好きな生徒は多いと思うのですが、では「クリエイターの目線」でゲームを見るとどうなるかを考えてみる授業です。なぜおもしろいのか、どうやって作るのか……。そこから新たな興味が広がるかもしれません。

 もうひとつの大きな特徴として、本校では、地域と連携してボランティアやインターンシップなどで社会体験の仕組みを整えています。社会生活では「コミュニケーション能力」「多様な人々との協働」「アウトプット」が大切といわれます。この3つを、生徒のペースに合わせて体験して、育ててほしいのです。事前申請や指導、事後の報告などは必要ですが、この活動も、自由選択の一部(学習外の学修)として単位認定されます。

真新しい教室は、木のぬくもりが随所に感じられる。最新の設備に、授業で使用する備品も充実。(撮影/三宅智佳)
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