「自主的な学び」を邪魔しない
私は子どものころ、宇宙が大好きでした。今にして思えば、わが子が宇宙に興味をもったことに気づいた親が、宇宙の図鑑を買ってきて家の本棚にさり気なく置いてくれていたのです。
「今日、本で読んだことを教えてよ」と聞かれるのがうれしくて、私は図鑑で得た知識を毎日のように両親に披露し、宇宙にどんどん詳しくなっていきました。宇宙の本や図鑑のページを夢中でめくっていくと、そこには「月までの距離は38万キロメートル」「太陽までの距離1億4960万キロメートル」「銀河系にある恒星の数は2000億個」と、大きな数が当たり前に載っています。大好きな宇宙に関することですから、私はそういった数字をどんどん吸収していきました。
すると、宇宙への興味を通して、「大きな数字」も対する感覚が自然と身についたのです。そして、最初は宇宙への興味でしたが、大きな数を身近に感じられるようになり、その延長で算数(数学)が得意になり、今ではその算数を教えることを仕事にしています。
みなさんも、同じように何かに夢中になった経験をおもちでしょう。そのとき、普段とは比較にならない早さで知識を吸収していきませんでしたか?覚えたことを、忘れることもなかったはずです。それこそが、「自主的に学ぶ」ことの効能です。
自主的な学びは、学校の授業や宿題で他人から強制される勉強とは、知識の吸収率も定着率も段違いなのです。全国トップレベルの子どもの親御さんが大事にしているのは、この最高の学びの状態をできるだけ邪魔しないということです。
自主的な学びとは反対に、他人に強制されて嫌々取り組むことは、よき学びになりません。その最たるものが、学校や塾から押しつけられる宿題でしょう。
「子どもに宿題をたくさんやらせれば、学力が伸びる」と勘違いしている人はいまだに多くいます。巷では宿題の量の多さを売りにしている「詰め込み塾」も人気ですよね。しかし、科学研究機関やRISUのもつ学習ビッグデータなどは、「宿題は子どもの学習向上に貢献しない」と結論を出しています。すでに科学の世界では宿題に意味がないことが明らかなのです。
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