環境では近くを見る作業を長時間行うことが要因です。具体的には「30センチ未満の距離で目を使う作業が、30分以上続くこと」が眼軸を伸ばし、近視のリスクを高めることがわかっています。

 スマホを操作する際の距離は約19センチ、タブレット端末もその多くが30センチ未満です。つまり、現代の子どもを取り巻く環境は近視のリスクだらけなのです。

スマホで斜視になるって本当?

Q スマホで斜視になる子が増えているという話も聞きました。

 スマホを見ることによる斜視(スマホ斜視)は医学的には「急性内斜視(きゅうせいないしゃし)」と言われるものです。手元を見ていると寄り目になりますが、遠くを見ると元に戻ります。スマホ斜視はスマホを近距離で、長時間使用を続けることでこの寄り目が元に戻らなくなってしまったのではないかと考えられています。

 スマホ斜視の患者さんにはスマホの使用をまずは制限してもらいます。これで元に戻らない場合は手術が必要になります。スマホ斜視は長時間、スマホを使っていたら誰でもなる、というものではなく、個人差があるようです。ただし、最近は手術が必要な子どもの患者さんが急増していることが学会で報告されているので、近視と同様に注意してほしいと思います。

近視になると、どんなことが起きるの?将来のリスクは?

Q 近視になると、どんなリスクがありますか?

 近視になれば、はっきりと見るためにメガネやコンタクトレンズによる矯正が必要になります。裸眼ですごせないのは、それだけで不便なものです。しかし、実は近視に注意しなければならない大きな理由は、もっとほかにあります。近視の程度が強くなると、将来、重篤な目の病気を発症しやすいことです。

 近視の程度は裸眼視力ではなく、屈折度数によって分類されます。屈折度数は屈折検査機器で測定します。よく使われている「オートレフ・ケラトメーター 」は機器をのぞくと気球の絵などが出てきますが、この絵のピントがどこで合うかによって屈折度数を自動的に測っています。

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