また、環境的な対応として日常生活で明確なエビデンス(科学的根拠)が得られているものとして、「屋外活動」(外遊びなど)があります。エビデンスの根拠となっている有名な研究は6歳の子どもを「屋外活動が長く、近くを見て行う作業の時間が短かったグループ」と、その逆に「屋外活動が短く、近くを見て行う作業時間が長かったグループ」に分け、追跡調査をしたものです。
研究の結果、12歳時点での近視の発症数は後者の「屋外活動が短く、近くを見て行う作業が長かったグループ」がその逆のグループに比べ16倍も多く、17歳時点でも5倍多いという結果でした。
「屋外にいる時間が1日2時間以上」で近視になるリスクが下がることもわかりました。また、たとえ2時間以内でも屋外で過ごすことは効果があると言われています。
これらをふまえて、シンガポールでは2001年から政策として屋外活動キャンペーンを実施。その結果、小学生の近視が低下、近視進行の予防にも成功しました。台湾では120分以上の屋外活動プログラムを2010年から実施し、5年間で小学生の近視が45~50%まで減っています。
Q 屋外活動が眼にいい効果をもたらす理由は何ですか?
目の網膜の中にある神経伝達物質といわれているドーパミンは、日光の刺激によって多く作られるようになります。そしてこのドーパミンという物質が目の眼軸が伸びることを抑えるのではないかといわれています。
スマホやタブレットは「30センチ以上、離して見る」
Q 日本でも子どもの屋外活動を促す動きがあるのでしょうか?
日本眼科医会では、1日2時間程度の屋外活動を推奨してきました。学校関係者などへも啓発を行っており、取り組みに力を入れている小学校や幼稚園などは増えています。屋外活動と言っても炎天下で過ごす必要はありません。外にいるだけでOKです。近視進行予防の効果を得るための照度は、1000~3000ルクスで、これは校舎の陰や木陰にいるだけで十分な明るさです。帽子やサングラスを使用しても効果はあります。
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