いま思えば、私はやはり「何かを生み出して、形にしていく」という世界が好きだったのだと思います。それはいまの仕事とも結びついているんですよね。

どんな時代になっても、自分の人生を楽しめる人に

――自分が何になりたいか、当時はわかっていなかったんですね。

 はい。でも優柔不断だった私が、たった一つだけ自分の意思で即決したのはモデルにスカウトされたときです。演技の仕事にも興味があって「絶対にやりたい」と心から思いました。

 ただ、芸能界に入ったあとも新しい世界を自分で切り開いていくことが苦手で、ずっとコンプレックスになっていました。

――だからお子さんには「自立と自律」をさせてあげたいのですね?

 そうなんです。人生という道は1本ではないし、こういう道を進めば幸せになれる、豊かな人生を送れるという保証なんてない時代です。

 どんな時代になっても、自分で楽しめる仕事を得られて、そこでがんばれる子になってほしいと思うんです。

――そのために、親は何ができるのでしょうか。

 原動力は「好き」という気持ちだと思うんです。やりたくないことをやらされるのは疲れてしまうし、得意をつぶしてしまうかもしれない。人間の持っている時間とエネルギーには限りがあるので、まずは「好き」から始めていくのがいいと思います。

だから成績にはデコボコがあってもいいと思うんです。私の場合、算数は好きだけど社会は苦手。でも算数ができた達成感は、ほかの教科にも波及していたと思います。

「わが子を東大に入れたい」と思ってはいけない、と自戒する

――まだ先のことですが、お子さんたちを東大に入れたいと思いますか?

 思ってはいけない、と思っています。

――それはどうしてですか?

 親ってつい、自分が通ってきた道を子どもにも求めてしまいがちです。それは「この道なら問題ないだろう」っていう安心感が欲しいからだと思うんです。

 逆に言うと、自分が知らない道に子どもが進むことが親は怖いんです。

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