このように症状が一定しているわけではないので、1回の試験だけでは確定できないこともあります。私の場合は、判定保留としたり、これまでの症状などから臨床的に起立性調節障害と診断して経過を追っています。

日常でできる工夫とは?

Q 日常生活で工夫できることはありますか?

 起立性調節障害の治療は、日常生活の工夫と病気への理解が基本となります。日常生活では、次のようなことを意識すると症状の軽減や回復につながります。

■日常生活の工夫

・起立するときは、頭を下げて前かがみになりながらゆっくり立つ

・じっと立ち続けない、じっと座り続けない(下半身への血液貯留を避ける)

 短時間での起立でも足をクロス、少しモゾモゾと動かす

・1日1.5~2ℓの水分を摂取する

・塩分摂取(ふだんより1日2~3g増やしてみる)

・筋力低下を防ぐ

・自分の体調に合わせたリズムで生活することを心がける

・いま自分にできることは何かを確認して、それができればまずは「OK!」とする

 起立性調節障害で問題となるのが、「デコンディショニング」と呼ばれる過剰な安静による悪影響です。午前中はだるくて動けない→学校に行けずに家にこもりがちになる→活動量が不足する→身体機能(筋力など)が低下する→さらに動けなくなる、という悪循環が起こり、起立性調節障害そのものよりもデコンディショニングのほうが大きな問題になっていくこともあります。調子がいい時間帯は、スクワット(はじめは3回から)やエアなわとび(なわなしで跳ぶ)などで筋力をキープすることが大事です。

■病気への理解

 診断される前の子どもは、自分の症状の原因がわからず不安な状態です。一方保護者は、朝起きられないのは学校で何かあったのではないか、精神的な問題が起こっているのではないかなどと考えてしまうこともあります。本人のがんばりではどうにもならない身体的な病気であることが本人も家族も理解できれば、不適切な対応を避けられ、悪化の予防にもつながります。

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