Q どこで診断してもらえますか?

 診断には、安静仰臥位(仰向け)と起立時の血圧や心拍数を比較して調べる「新起立試験」が必要です。しかしながら、小児科であればどこでもこの試験を受けられるわけではありません。まずはかかりつけの小児科で相談し、起立性調節障害の疑いがあると判断された場合には、新起立試験を実施している病院を紹介してもらえると思います。あるいはホームページなどで新起立試験を実施している病院や起立性調節障害の専門外来を設置している病院を調べることができます。いずれにしても、事前に電話で問い合わせることをおすすめします。

検査や診断の方法は?

Q どのように診断するのですか?

 問診で症状や一日の生活、学校での様子を確認し、血液検査などによって貧血や甲状腺機能障害などの病気が隠れていないかどうかを調べます。起立性調節障害が疑われたら、「新起立試験」に進みます。午後になると症状が回復していることが多いので、午前中に検査するのがポイントです。

■新起立試験の方法

 まずベッドに横になって10分間安静にしたあとで血圧や心拍数を測り、起立直後、さらに起立したまま10分間経過する間の変化をみます。血圧や心拍数、心電図のほか、症状の変化も確認します。起立直後は誰でも一度血圧が下がりますが、通常はすぐに回復します。起立性調節障害の場合は、血圧や心拍数が安定せず、血圧が低下したり、心拍数が増加するなどの変化が生じます。その変化によって次の四つのタイプに分類します。

①起立直後性低血圧 起立直後に強い血圧低下が起こる

②体位性頻脈症候群 起立による血圧低下はないが、心拍数が増加する

③血管迷走神経性失神 起立中に突然血圧が低下し、意識低下や意識消失発作を起こす

④遷延性起立性低血圧 起立3~10分後を経過して血圧が低下する

「①あおむけ」や「②起立直後」では足の甲の色は肌色ですが、「③起立10分後」には、かなりうっ血して赤黒くなっていることがわかります。もし、足や手の甲の赤みが強くなっている場合は、血の巡りが悪くなっているサインの可能性があるので、足を動かしたり高くして、頭は下げることをすすめています。尚、起立時に足の甲が赤くなることは必ずしも病的なものではなく、健康な人でも見られる現象です。(写真は、田中大介医師提供)

Q 新起立試験で血圧や心拍数の変化が正常なら、起立性調節障害ではないのですか?

 起立性調節障害は毎日同じように症状が出るわけではなく、天気や気圧、季節などに左右されます。一般的にくもりや雨の日、暑い日、季節でいうと春から夏に症状が重くなりやすいと言われています。一年を通してみると梅雨どきから秋口までは調子が悪くなりがちです。特に梅雨の時季は症状が重くなりやすいので、要注意です。

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