しかし、効果的な学習方法はあります。ポイントは「正答率」です。模擬試験の結果が返ってくると、各問題の正答率が表示されています。この正答率と偏差値には相関関係があります。100から偏差値を引いた数以上の正答率の問題をチェックするんです。たとえば偏差値50だったら、正答率が50%以上の問題で間違えているものをチェックします。偏差値60なら正答率が40%以上の問題ですね。これらの間違った問題や単元を勉強することで、効果的に偏差値があがります。

 中学受験は、80%合格偏差値に届けば合格できるとは限りませんが、目標に近づくことは確かです。

偏差値にとらわれすぎないことが大切

――「偏差値」について、親が注意すべきことは。

 あまり偏差値にとらわれすぎないことだと思います。先にお伝えしたように、多くの保護者が経験した高校受験や大学受験の偏差値と、中学受験の偏差値は大きく違うのです。保護者の物差しで「偏差値〇なんて低い」などと子どもに決して言わないようにしてください。

 そして「偏差値の高い学校がいい学校」だと決めつけないことも大切だと思います。親の側にそういった思い込みがあると、こうした偏差値の上下に右往左往してしまいます。一方、校風や学校のカリキュラムなど、保護者のなかに「わが子にあった学校選びの指針」がはっきりしていれば、偏差値や、偏差値のからくりも心配するまでもないはずです。

 中学受験における偏差値の正しい意味を知って、決して踊らされることなく、学校選びや学習に生かして中学受験を乗り切ってほしいと思っています。

(取材・文/栗山琢宏)

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栗山琢宏
フリーランスライター 栗山琢宏

子どもの中学受験をきっかけに、現在の中学受験についていろいろ調べ、子どもの受験に伴走した結果、中学受験マニアに。中学受験が終わった今も中学受験の動向を追う。子どもの弁当担当として、日々弁当作りにいそしんでいる。

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