学習費捻出の目安は世帯年収1千万円
藤川さん自身が二人のお子さんを私立小学校に通わせた経験をもつことから、私立小学校への入学を検討している家庭から相談を受けることもあるという。藤川さんは「入学を検討中の親御さんに私がまずお伝えするのは、私立小学校への入学は、私立の中学・高校や大学への進学とは全く別物だということです」と話す。
「小学校受験は子どもの年齢が幼いことから、100%親の意思です。これが中学校受験になると親と子どもの意思が半々のイメージで、高校や大学受験は子どもの意思が強くなります。このように、子どもを私立小学校に通わせるには、親の心構えや資金力が大きく関わってくるのです。受験の面接の際にも、主に親が見られると考えるべきでしょう」
経済面では、1年間に約167万円を支払う資金力が必要になる。藤川さんは「世帯年収1千万円がひとつの基準になります」と話す。
「通常の教育費のイメージは、子どもが生まれてから18年間コツコツとためた教育資金を大学で使い果たすといったものでしょう。ところが小学校受験は、4、5歳から準備が始まります。子どもが生まれてから数年しかなく、ためる期間がほとんどない。しかも準備しなければならない金額は年間百数十万円。それが十数年にわたって続くわけですから、事前に準備するのは不可能に近いのです。つまり、収入の中から力業で学費を捻出し続けるしかない。年収から1年間に教育費約167万円を捻出し続けるためには、世帯年収1千万円は必要です」
入学時の寄付金や受験対策費も想定する
世帯年収1千万円以上を裏付けるデータが、文部科学省「子供の学習費調査」にもある。子どもを私立小学校に通わせる世帯の年収に着目すると、年収1千万円以上の世帯が全体の約65%を占める。そのなかで、1千万〜1千199万円の世帯が1年間で学習費にかけた金額は約165万4千円となっており、私立小学校の学習費総額約167万円と近い数字となっているのだ。
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