――入学試験はどんなものでしたか。
現地に行って受けるんです。英語のテストやIQ測定、インタビューもあったかな。学校からの英語の推薦文も必要だったのですが、僕は神奈川県の大磯町というところの公立中学校出身で、当時初めての留学希望生だったので、先生たちも困っていました。「英語の推薦文なんて、どうやって書くのか」って、先生もいろいろ聞いて回っていました(笑)。
――学校は全寮制です。どんな生活でしたか。
もう、毎日糸がピーンと張ったような感じです。朝は5時45分にラッパの音で起こされて、がっと着替えて6時には部屋を出ていないといけない。それまでにベッドはきれーーーいに整えます。靴や洋服も常にピカピカに整えていないといけない。毎朝、毎晩、教官のチェックが入りました。
日中は、朝から晩まで通常の教科の勉強に加えて軍事式教育と軍事訓練がありました。例えば、ライフルを撃つ授業が週2~3回あって、それをパスしないと卒業できない。あとは組織論やリーダーシップを取る方法など、アメリカ陸軍の基礎基本となったものを教えられます。就寝は23時。宿題もたくさんあり、勉強もしっかりやる学校なんですよ。
――先生はどんな方でしたか。
先生は全員、現役もしくは退役の軍人で、校長先生も軍人です。僕を教えてくれていた先生たちは、ベトナム戦争の経験者が多く、戦地でけがをしたために片目に大きな眼帯をつけたキャプテンハーロックみたいな先生もいました。
高校生だった当時は、湾岸戦争(1990年~)が始まったころで、先生たちにどんどん招集がかかって、次々と出兵していくんです。先生方は前線に出ていきますから、生きて帰ってくるかどうかわからない。一度戦地に行ったらだいたい2年交代なので、その後は卒業してしまって会えなくなった先生がほとんどです。だから、授業にはものすごい緊張感がありますよ。高校3年生にもなると、国のために志願していく生徒もいます。その感じは日本にはないですよね。先生も生徒も、ものすごく気合が入っています。毎日が映画「愛と青春の旅だち」みたいです。
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