そうですね。振り返ると面白かったです。行ってよかった。あの学校に行っていたのとそうでないのとでは、人生が大きく違ったと思います。精神的に強くなったし、なかなか経験できない濃密な青春時代でした。平和であることの素晴らしさも心底感じます。そして、平和を維持するには、努力が大切だということも。日本はいま、米軍が基地にいて守ってくれていますが、もしそのバランスが少しでも崩れたら他国から攻め込まれる危険性も大いにある。普通に過ごしているだけでは、平和の維持は難しいのです。

 お菓子は平和産業ですよね。人を癒やしたり、幸せな気持ちにしたりする。ミリタリーアカデミーにいるとき、時々日本にいる両親からうちの会社のお菓子を送ってもらっていました。友達に配ると、みんなの張りつめていた糸が一瞬緩んで、喜んで笑顔で食べてくれるんです。ひとときの和む時間でした。そういう実体験があるので、お菓子で世界平和を実現しようと思いました。

――大学時代もアメリカで過ごされています。

 初めはフランクリンピアース大学、3年生から編入してサフォーク大学に通ってマーケティングを学びました。大学生からは普通の生活です。大学に入って初めて「ああ、普通のアメリカ人の学生生活ってこうなんだ」と知りました(笑)。

――卒業後は香港を拠点とした最大手の食品企業に2年勤め、その後、ギンビスに入社。工場勤務などを経て来年2023年には社長に就任してから10年目になられます。

 最高においしいお菓子づくりを最上位の目標とし、前日に工場でつくられた「たべっ子どうぶつ」と「アスパラガスビスケット」を送ってもらって毎朝食べてチェックしています。毎日食べていないと、微妙な味の変化に気づけないんです。工場でのつくり方は毎日同じでも、湿度や温度などで焼き方や練り方がかすかに変わってくる。実は、商品は変えることより、変わらないことのほうがとても難しいので、日々追求しています。

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