ただ、外出するときに親の人数が足りない状況は変えられないので、1人はベビーカーに乗せて押し、あとの2人は手をつなぎ、そのタイミングでいちばん落ち着いている子は、ベビーカーにつけたストラップをつかんでもらう……なんて、そこは臨機応変。子どもたちがベビーカーを押してくれることもあります。チームワークですね。
■自分で考えて行動できる人に
――子育てをするうえで、大切にされていることはありますか?
臆せず自分で発信し、考えて行動できるようになってほしいと思います。たとえば、子どもたちが夫の仕事現場のかたに無邪気に話しかけたりしても、「口を慎んで!」なんて制止せずに、わりと自由にさせています。
親がなるべくそう心がけることで、周りの目を気にせず、自分で考えてコミュニケーションをとってどんどん行動に移せる人になるのではと思っています。そこは、夫も同じ考えですね。
――長男の剣侍(ケンジ)くんに対しては、特別に心がけていらっしゃることはありますか?
剣侍はダウン症を持って生まれてきたので、最初は「どうやって育てていったらいいのかな」と、毎日のように悩みました。でも、30歳でひとり暮らしをしているダウン症のかたや、結婚されたかたもいることを知って、これも一つの個性じゃないかなって。確かに、何をやるにも時間はかかるけれど、できないわけじゃない。私もやればできると信じているし、本人にも「僕はできないんだ」なんていうふうに思ってほしくないので、ダウン症を言い訳にせず、やっぱりどんなことでもチャレンジさせようと思っています。
――個性に応じてチャレンジできることがある。
そうです! 逆立ち一つにしてもそう。次男の寿凛(ジュリ)は運動神経がいいので、逆立ちなんかもひょいとできてしまうんですよね。一方、剣侍は筋力が弱いので、すぐにはできない。でも、やろうとするのを「危ないからやめなさい」と制止するのは簡単だけれど、本人のやりたい気持ちに任せようと思って見守っています。結果、時間はかかったけれども、今では逆立ちができるようになりました。
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