※写真はイメージです(gettyimages)
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 映画「わたしの幸せな結婚」で単独初主演を務めたSnow Man・目黒蓮さん。今、最も注目を集める俳優の一人といっていい。その原動力を聞いた。AERA 2023年3月20日号から。

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――映画「わたしの幸せな結婚」で、周囲が羨む美貌を持ちながら心を閉ざしている冷酷な軍隊長、久堂清霞(くどうきよか)を演じる。特殊な能力「異能」を駆使して戦う、陸軍・対異特殊部隊の軍隊長という役どころだ。

目黒蓮(以下、目黒):タイトルから「ほのぼのした純愛ラブストーリー」みたいなものを勝手にイメージしていたんですが、原作を読んで良い意味で裏切られました。明治、大正期をイメージした架空の時代の中で、純愛が軸にありつつも、大切な人を守るために激しいアクションを繰り広げたり、特殊能力を使えるいろいろな「異能者」が出てきたりと、ハマる要素がありすぎて、あっという間に読み切ってしまいました。あまりに面白くて、メンバーに薦めたくらいです。

■共感できる部分探した

 清霞は「美しい人」というキャラクター。衣装は軍服や和装が中心なので、まずは美しく見える所作を教わりながら寄せていきました。たとえば、座るときは上着の裾をパッと手で払って座ると綺麗に見えるんです。そういう細かい着物のさばき方を、何度も練習して身につけて本番に挑む感じでした。

――政略結婚で、名家に生まれながらも家族に虐げられて育った斎森美世(今田美桜)と出会い、心を通わせることで、二人はそれぞれが抱えてきた孤独から解放されていく。何より繊細に表現したかったのは清霞が少しずつ心を開いていく、その過程だ。

目黒:まったく立場の違う二人がどう気持ちを通わせていくのか。台本を読み込んで、清霞の「あれ? この人は今までの人とは違うかもしれない」から「やっぱり違う」、そして「この人を絶対に守りたい」までの気持ちのグラデーションを、自分の中で丁寧に整理していきました。それを作った上で、塚原(あゆ子)監督と何度も話し合いながら演じていった感じです。でも、表情とか目線の違いでそのグラデーションを表現する、みたいなことではなくて、気持ち優先でぶつかる感じでした。どこかに共感できる部分がないと自分は演じるのが難しいので、共感できる部分を探して、そこから広げていく感じです。

 塚原さんとは、清霞の役に関してもそうですが、それ以前のお芝居論みたいなこともたくさんお話をさせていただきました。分かりやすい言葉でハッとするような学びをくださる方なんです。それだけでお芝居の仕方が全然変わるような。「この方向を目指してお芝居をしていいんだ」というものも明確に分かったし、目黒蓮のお芝居の土台をいただけたな、と思いました。そういう意味でも節目の、とても大切な作品になりました。

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