さらにウィンフリーさんとのインタビューでは王室内で長男アーチー君(3)の肌の色に関して人種差別を受けたと訴えた。それはエリザベス女王が「記憶は時にあいまいなもの」と声明を出すほどのインパクトがあった。しかし、今回ヘンリー王子は関連インタビューに登場して「人種差別は受けていない」と否定した。人種差別の言動をとった人物の名前を明らかにするべきだという声が強いにもかかわらず、それは「無意識の偏見」だと言う。それを聞いた司会者が驚く様子が画面に映し出された。
■ダイアナ元妃への思い
カミラ王妃(75)も非難から逃れることはできなかった。王子は「悪人」と呼び、彼女は王室内でうまくやるために悪いイメージを変える必要があったとした。それで王室内の情報をメディアに売る危険な存在になったという。かっこうの餌食になったのは自分たちだと言わんばかり。チャールズ国王(74)は、王妃に触れることがあれば「一線を越えた」とみなすと警告を発していた。
書籍の中で唯一胸を打つところは、12歳で亡くした母ダイアナ元妃のところと言われている。本の献辞は、妻、2人の子ども、そしてダイアナ元妃に捧げられているが、母を突然失った王子の痛みはまだ消えていない。当時、元妃はパパラッチから一時的に身を隠し、やがて姿を現すと王子は長く信じていた。パリに行った際に元妃が交通事故死したアルマ橋トンネルを同じスピードで走ってもらってもいる。米カリフォルニア州の「力のある女性(霊媒師と思われる)」から、元妃の言葉として「今が幸せでよかった。誇りに思う」と告げられたともいう。王子の傷の深さを心配する声も多い。
英デイリー・ミラー紙は「これでヘンリーは全て終わった」とし、米ニューヨーク・タイムズ紙は「史上最も賛否が分かれるセレブの回顧録になるかもしれない」。5月6日はチャールズ国王の戴冠(たいかん)式だ。王室は2人に招待状を送っている。2人の対応から今後が見えてくるだろう。また、ペンギン・ランダムハウスとの契約は4冊。メーガンさんが回顧録を出す日も遠くないそうだ。(ジャーナリスト・多賀幹子)
※AERA 2023年1月23日号より抜粋