料理家として人気急上昇中の和田明日香さん(撮影/写真映像部・東川哲也)
料理家として人気急上昇中の和田明日香さん(撮影/写真映像部・東川哲也)

 料理家としてテレビや雑誌で話題の和田明日香さん。子育てと並行して食育インストラクターの資格を取り、努力を重ね……。「AERA Money 2022秋冬号」から、和田さんのプライベートの話も含めたインタビューをお届けする。

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結婚した当初は自分が料理家になるなんて思いもしませんでした。私の料理は、名前もつけづらいような『地味ごはん』。

 全体的に見た目が茶色で『映(ば)えない』んですよね(笑)。本を出版する前は、これは世の中に披露するようなレシピじゃないのでは……と思っていました」

 2022年9月、和田家にうれしい知らせが舞い込んだ。「料理レシピ本大賞2022」で、和田明日香さんの著書『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)が料理部門で入賞、夫の母である平野レミさんの著書『おいしい子育て』(ポプラ社)がエッセイ賞に輝いたのだ。2014年の創設以来、母娘でのダブル入賞は初。

 そもそも「地味ごはん」のレシピ本は発売前から予約が殺到し、瞬く間に22万部を突破している。

「この本を売ってやるぞ、という気持ちはあんまりなかったです。これまで10年間の活動で『こんなものを作ってきた』という私の履歴書にしたかった。当時は出版したことがゴールだったんですよね」

 絶大な支持を得ている理由は何か。レシピ本の中には、基礎知識があることを前提に説明を省略したものもあるが、和田さんの著書は、それらと一線を画す。

「私も料理を覚えたての頃、いくつかのレシピ本を見て戸惑ったことがあります。だから、私の言葉(自分が料理を学んだ際の目線)でレシピを書くように気をつけました。料理に自信をなくしている人も台所に戻ってきてくれたら……という気持ちで」

 著書で取り上げるレシピを選ぶときは悩んだ。たとえば、かぼちゃの煮物。特段珍しい料理ではなく、すでにさまざまなレシピが世の中にあふれている。

「今さら私が紹介する必要はないと、いったんは思いました。だけど自分が料理をはじめたばかりの頃は、どうすれば甘くてしっとりと炊き上げられるのか、全く想像もつかなかったな……と。

 この10年間を振り返ってみたら、試行錯誤を繰り返しながらかぼちゃをおいしく煮る方法を自分で見つけてきたことを思い出しました」

 和田さんの著書が多くの人たちから支持されているもう一つの理由は、彼女が10年をかけて習得した料理のコツを「おすそ分け」してもらえることにある。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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イチから料理を平野レミさんに教わるのでなく独学だった