AERA 2022年11月21日号より
AERA 2022年11月21日号より

 職場のセクハラはいまだに根強く残っている。体を触るようなセクハラとともに、業務の中に潜む「言葉のセクハラ」も問題視されている。セクハラを防止するために意識するべきポイントとは。AERA 2022年11月21日号の記事を紹介する。

【図】過去3年間に被害を受けた人のセクハラの内容はこちら

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 セクハラが社会問題となって、長い年月がたつ。啓発と理解は進んでいるのか。厚生労働省が発表した「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」(2020年度版)では、過去3年間に各ハラスメントの相談があった企業のうち78.7%が「セクハラに該当する事案があった」と回答。東京都産業労働局が発表した「労働相談及びあっせんの概要」(21年度版)によると、同年のセクハラに関する労働相談は945件あった。

「最近セクハラが減ったか。そんなことは全くないですね」

 こう話すのはハラスメントの相談を行う日本ハラスメント協会代表理事の村嵜要さんだ。

「コロナ禍で飲み会が減った分、酔って体に触るなど『わかりやすいセクハラ』は減っている。ただ業務の中に潜む『言葉のセクハラ』については、まだ理解が浅いと感じます」

■自覚がなくても

 例えば、その人の外見の特徴や年齢に関係した「イケメン」「姉さん」などのあだ名で呼ぶことや、「休日はスカートはいてるの?」などプライベートに介入する言葉がセクハラにあたるとの理解は進まないと言う。

「『〇〇さんって顔採用よね』など、一見わかりにくいセクハラが雑談の中でふと口をついてしまうことも多い。人と比較した発言をしないことが大事です」

 セクハラ行為も多い。男性上司が残業している女性の部下に「お疲れさん」と肩をポンポンと叩く。珍しくない光景だ。

「思いっきりセクハラですね。上司としては『励ますつもりだった』が典型的な言い訳として出てきますが、そのつもりでも、体に触れるのはだめです」

 これらのセクハラをしないために、村嵜さんは注意すべき10のポイントを挙げる。

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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