アイスランドの人里離れた土地で暮らす羊飼いの夫婦。ある日、一頭の羊から羊ではない「何か」が生まれた。衝撃を受けながらも、夫婦は自分たちの子どものように「それ」を受け入れるのだが……。連載「シネマ×SDGs」の22回目は、カンヌ国際映画祭をはじめ世界を騒然とさせた禁断のネイチャー・スリラー『LAMB/ラム』のヴァルディミール・ヨハンソン監督に話を聞いた。
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子どものころ、祖父母の羊牧場で多くの時間を過ごしました。アイスランドの民話や、人間のなかに存在する自然、自然のなかに存在する人間を映し出す作品を作りたいと思ったんです。都市ではなく田舎で起こる、ある種のクリーチャーが登場する……そんなイメージから本作は生まれました。
スリラー、SFどんな見方も自由です。ただ大きなテーマは「受容」、そして「家族」についてです。
主人公夫婦には子どもを失った過去があります。そんな二人が、目の前の「なにか」を受け入れ、家族になっていく。家族とは血で繋がっていなければいけないのか。さまざまな家族像があるのではないか。そんな思いを込めました。