「肌質に関係なく、洗顔は優しく素早くが基本です。時間をかけたほうがいいと思うかもしれませんが、肌に必要な保湿成分も一緒に洗い流されてしまう。敏感肌を自分で作ってしまっている人もいます」

 じっくり洗わなければ皮脂が残ってしまうのではと不安になるが、吸着力の高いもこもこ泡を立てれば大丈夫。摩擦が起こらないように、泡をくるくると肌になじませるのがポイント。洗顔後に顔を拭くときもこするのはNG。吸水性の高いタオルを使うのがおすすめだ。

“いちご鼻”が悪化して

 スキンケア用品を使いこなせていないのは、この女性だけではない。訪問販売が中心の老舗メーカー「ナリス化粧品」の調査によると、スキンケアをしている女性の66%が自分のスキンケアに自信がないと回答。また、正しい使い方をしっかり理解していると答えた女性は約2割しかいなかった。

 横浜市の会社員女性(27)も自信を持てない一人だ。

 高校生の頃、“いちご鼻”をケアするパックが流行(はや)っていた。物は試しと使ってみたら、毛穴がさらに目立つように。気になるから、またパックをする……。そんなことを繰り返した。

 毛穴パックは「した後」が大事だと女性が知ったのは、数年前。今はだいぶ目立たなくなったが、それでも化粧をするたびにどんよりした気持ちになるという。小林医師もこう警告する。

「洗顔で毛穴の汚れをただ取り除くだけでは、またすぐに詰まってしまいます。洗顔後に有効成分を入れ込むことが必要ですが、洗顔を頑張ることでかえって摩擦を作り、毛穴を目立たせてしまう人も多いです」

 肌によかれと思ってやったことが、あだになる。そんな悲しいことはできれば避けたい。

 そこで、アエラでは17の肌習慣セルフチェックをまとめた。朝・昼・夜のシーン別に、洗顔やスキンケアの注意点なども記載しているので、参考にしてほしい。

AERA2022年9月12日号より(イラスト 石山好宏)
AERA2022年9月12日号より(イラスト 石山好宏)
AERA2022年9月12日号より(イラスト 石山好宏)
AERA2022年9月12日号より(イラスト 石山好宏)

 人並みにケアしてきたと自負する記者(28)もセルフチェックをしてみた。正しくできていたのは、七つだけ。頑張って塗り続けた日焼け止めの量が足りていなかったこと、風呂上がりに一分一秒を争いながら保湿する必要がないことを知ってショックだった。

 スキンケアは、シンプルが鉄則だと小林医師は言う。

「夏から秋にかけて肌が揺らぎやすくなると、美容液などつい色々なものを塗ってしまいがちです。でも、ダメージを受けているときほどシンプルな保湿がカギになる。秋以降も紫外線対策をしながら、しっかりケアしていきましょう」

(編集部・福井しほ)

AERA 2022年9月12日号より抜粋

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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