YouTubeチャンネル「木下優樹菜ですっ」から
YouTubeチャンネル「木下優樹菜ですっ」から

<私のADHD、発達障害に関して話したいと思います>

【写真】「おバカと言われていたけど、今は逆ヘキサゴン」と言われたタレントはこちら

 元タレントの木下優樹菜さんが7月25日、自身のYouTubeチャンネルに「ADHDの私から伝えたい事があります【ユキナの告白】」と題した動画を投稿した。

 木下さんは動画のなかで<なんで優樹菜はそうだ(ADHD)って分かったかっていうと、ブレインクリニックというクリニックに行ったんですよ。脳の周波を調べに、ちゃんと自分を知ろうと思って>と発言し、自身の脳を表したものだという資料を示してこう続けている。

<普通の34歳の女性はこれ、私はこれ。ぱっと見ですぐわかるでしょ。なんか全然違わない?脳の中が混線、こんがらがっちゃってんの。で、前頭葉ってところが働いてないの。この前の水色。で、急にこの赤くなってるところ(後頭部のやや右)、すっごい発揮しちゃってるんだって。もう先生の書き方もすごいから。思考回路・伝達グルグル・脳疲労。常にずっと何かを考えている状態。>

 この動画は大きな反響を呼び、公開から2週間たった8日現在で44万回以上再生されている。著名人がADHDを明かしたことで理解促進につながるという声の一方、過去の騒動を指して「障害を免罪符にするな」との批判もあった。そして同様に注目を集めたのが、「脳の周波を検査した(ことでADHDがわかった)」とする発言だ。

 記者自身、木下さんの動画を見て率直に驚いた。

 過去にADHDの診断を受けている知人からは、複数回の診察や心理検査を受け、家族への聞き取りまであったと聞いていた。初診から診断まで2カ月ほどかかったという。それが脳波を見ればわかるようになったのだとすれば、医学の大きな進歩だ。 

 だが、真偽を確かめようと複数の精神科医や脳科学の研究者に話を聞くと、皆一様にそれを否定した――。

 ここでまずは、ADHDについて改めておさらいする。精神科専門医で、早稲田メンタルクリニック院長の益田裕介医師はこう解説する。

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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