2020年、東洋太平洋ライトフライ級王座決定戦を戦う堀川(左)。コロナ禍のため、試合は無観客で行われた(c)Chikako Kishimoto/Boxingmobile
2020年、東洋太平洋ライトフライ級王座決定戦を戦う堀川(左)。コロナ禍のため、試合は無観客で行われた(c)Chikako Kishimoto/Boxingmobile

 三迫ジムに移籍して以降も、堀川の戦績はやはり一進一退だ。2017年に地域タイトルのWBOアジアパシフィック・ライトフライ級王座を獲得するが、続いて挑んだ日本ライトフライ級王座決定戦では判定負け。規定によりWBOアジアパシフィック王座も失った。2019年に再挑戦し、自身二度目の日本ライトフライ級王座を獲得、初防衛にも成功するも、二度目の防衛戦ではやはり判定で敗れている。それでも、堀川は進化を実感しているという。

「三迫ジムに来てからの10数戦は、常に変化を感じています。新しい戦い方ができるようになったり、逆に課題が見つかったり。今なら、昔の自分を攻略できる自信もある。よく『何がモチベーションなの?』とか、『よくやる気が続くね』とか言われますが、自分のやる気以前にボクサーとしてまだまだやることがあるから、ここに来ています」

  そうした中で迎えた2020年の東洋太平洋ライトフライ級王座決定戦は会心の試合だった。前年に日本タイトルを失った次の試合。「本当にいい試合を組んでもらった」と堀川が言うように、タイトルを失ったボクサーが次戦で再びタイトル戦に挑むケースはまれだ。その試合で堀川は、プロ戦績15戦14勝(5KO)1敗(当時)で地域タイトルの経験もあった新鋭・冨田大樹(ミツキ)を10ラウンドTKOで下す。40歳のチャンピオンの誕生だった。

「昔の自分なら、冨田君をKOするビジョンはまったく描けなかったと思う。僕は一発で倒すボクサーではないけれど、圧力をかけて削って削って、1ラウンド目からの積み重ねでノックアウトするという『らしい』ボクシングをすることができた。タイトルが獲れたこと以上に、58戦目、40歳にしていいと思える試合ができたのがうれしかったですね」

 そして、こうも言う。

「20代後半から30代にかけては、もうギリギリ、次の試合が最後だななんて思いながらやってきました。でも、今は不思議とそういう気持ちがないんです。走りながら『負けたらもう走ることもないのかな』と考えることもない。もちろん、次の試合でけがをして戦えなくなることはあるかもしれないけれど、具体的な終わりは考えていません」

 そんな中で7月2日に迎える三冠戦は、20年のタイトル奪取以来、実に2年ぶりのリングだ。コロナ禍のなかで決まりかけた試合が流れるなど、思うように戦えない日が続いていた。ようやく決まったビッグマッチだ。

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ホープとの対戦「プライドかけてやります」