投打の「二刀流」で活躍する大谷は5月31日現在、8試合に先発登板して3勝3敗、63奪三振、防御率3.45(photo Getty Images)
投打の「二刀流」で活躍する大谷は5月31日現在、8試合に先発登板して3勝3敗、63奪三振、防御率3.45(photo Getty Images)

 米国内で評価が上がっているのは「投手・大谷」だという。今季3勝3敗、防御率3.45。圧巻は三振を奪う能力の高さを示した数値だ。44回3分の1で63奪三振。1試合で換算した奪三振率は12.79。リーグトップの81奪三振を記録しているレイズの163キロ左腕シェーン・マクラナハン(25)の12.50を上回る。米国メディアの間ではこう評価されている。

「大谷はサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)を狙える投球のクオリティーを示している」

 象徴的な登板試合が「3番・投手」で先発出場した5月5日のレッドソックス戦だった。7回被安打6、無四球、11奪三振、無失点の快投で今季3勝目をマークした。打っても4打数2安打1打点の大活躍だった。

■本格派と技巧派の要素

「大谷は昨季9勝をマークしましたが、後半戦は抜群の安定感で投げるたびに状態を上げていった。今年もその良い状態をキープしているように感じます。走者がいない場面でもクイックで投げたり、同じスライダーでも肘(ひじ)の位置を下げたりといろいろ試しながら打者のタイミングを外している。本格派と技巧派の要素を兼ね備えた投球スタイルで深みが増している。NPB(日本野球機構)で無双状態だったダルビッシュ有(現パドレス、35)の投球スタイルを彷彿(ほうふつ)とさせますね。抜群の制球力で三振奪取能力が高く、四球が少ない。大きな故障がなく1年間先発ローテーションで回れば、2桁勝利は通過点で投手タイトルも十分狙えると思います」(スポーツ紙記者)

(ライター・牧忠則)

AERA 2022年6月13日号より抜粋