阪神の矢野燿大監督はキャンプインの2月1日、沖縄県宜野座村からの歓迎セレモニーで日本一を誓った
阪神の矢野燿大監督はキャンプインの2月1日、沖縄県宜野座村からの歓迎セレモニーで日本一を誓った

■プロ2年目の金の卵

 昨季盗塁王の西川遥輝(29)が退団したが、スピードスターの座を引き継ぐ金の卵がいる。プロ2年目の五十幡亮汰(23)だ。中学時代は全日本中学選手権の陸上短距離2冠。プロ入り時は「(昨夏の東京五輪に出場した)サニブラウン(・ハキーム)に勝った男」と話題になり、1年目の昨年は27試合の出場で9盗塁をマークした。ただ、そのスピードを制御できず、3度の故障で戦線離脱。武器である「足」が「もろ刃の剣」になっていた。今回の武井さんの特別講義の後に、約40分間のマンツーマン指導を受けるなど首脳陣の期待は大きい。

 投手と打者にはどんな考えを持っているのか。新庄監督は昨年12月19日に行ったインスタライブで来季の構想について熱弁。開幕投手について言及し、

「これは楽しみにしていて。おれが一番楽しみにしているポイントかも。本当に横一線。外国人かもしれないし去年まで2軍の子かもしれないし、育成の子かもしれない」

 と強調すると、先発投手は「中6日なら130~140球は投げてほしいかな」と要望した。打者についてはこう語った。

「バッターは初球からガンガンいっていい。1番、2番、3番で(計)3球で終わってもいい。1番、2番が1球で終わって、3番が(初球に)甘い球を待つのはもったいない」

 他球団のスコアラーは警戒を口にする。

「新庄さんは戦略家だと思います。球界の常識にとらわれず、どんな起用法をしてくるのかわからない不気味さを感じます。落合さんが中日の監督1年目、開幕投手にエース・川上憲伸ではなく、3年間右肩痛で1軍登板がなかった川崎憲次郎を抜擢(ばってき)して驚かせました。同じように開幕投手でサプライズ起用がありそうな気がします」

■1月31日に意向を表明

一方、キャンプイン直前の1月31日に「退任宣言」で驚かせたのが阪神・矢野燿大(あきひろ)監督(53)だ。報道によると、沖縄県恩納村内の宿舎で行われた全体ミーティングで、就任4年目の今季限りで退任する意向を表明。メディアにもこの事実が公表された。

「この時期の発表は前代未聞です。選手も正直戸惑いがあったと思いますが、矢野監督も悩んだ末に出した結論だと思います。阪神の『監督人事』はシーズン途中で盛り上がるのが恒例で、優勝争いに水を差したことも多々ありました。昨年も前半戦を首位で折り返すと、『来季も続投』がスポーツ紙で取り上げられ、賛否両論の意見が出て大きな反響を呼びました。昨オフに1年契約を結んだ矢野監督は自身の去就が報じられ、選手たちが試合に集中できない環境を作りたくなかったのでしょう」(在阪スポーツ紙記者)

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