介護福祉士養成施設への入学者数と外国人留学生(AERA 2022年1月3日-10日合併号より)
介護福祉士養成施設への入学者数と外国人留学生(AERA 2022年1月3日-10日合併号より)

「これから10年、20年、定着して一緒に働く人材を考えたとき、経済成長著しいベトナムは難しいと感じた」

 1月から働き始めたネパール出身のシリス・マガル・チャンドラさん(22)は、自身の希望をこう話した。

「人に喜んでもらえる仕事でやりがいがあります。安心して、安全に暮らせる日本で長く働きたい」

 施設の入居者の平均年齢は88歳。要介護度は平均4.18。技能実習生には必ず行わなければならない必須作業があり、介護の場合は身支度や移動、食事・入浴・排せつの介助などがある。

 筆者が取材に訪れたときには、入居者とのカラオケなどのレクリエーションまで、すでに仕事は一通り一人で行えるまでになっていた。チャンドラさんに「なぜ、日本人は自分の親の介護をしないのか」と尋ねると、

「日本は発展していて、仕事が忙しく、家族が親の介護をしている時間がないのでしょう」

 チャンドラさんが日本語を学んだネパールのオクソン日本語学校(カトマンズ)では、約330人の留学生と約70人の技能実習生が、日本の入国再開を待ち望んでいる。

 介護の技能実習生として山梨県の特養から内定を受けているグルン・ジュナさん(28)は、地域の金融機関の元職員だ。日本円で月1万8千円程度の収入を得ていたが、日本で働く友人の話を聞き、自分も行きたいと考えた。

 仕事は介護を選んだ。家族の介護をした経験から、自分でもできるのではないかという自信もあったが、

「すでに結婚し、子どももいる。まずは技能実習生として日本に行き、その間に介護福祉士の試験に合格したい」

 在留資格が介護に変われば、技能実習や特定技能では認められていない家族の帯同(配偶者と子)が許される。

「家族も呼んで、できるだけ長く日本で働きたい」

 グルンさんは、そう未来を語った。(ジャーナリスト・澤田晃宏)

※AERA 2022年1月3日-1月10日合併号より抜粋