リュウジさん(35)/最新刊『リュウジ式至高のレシピ』(ライツ社)がベストセラー。フォロワー数はツイッター196万人、ユーチューブ250万人(撮影/写真部・加藤夏子)
リュウジさん(35)/最新刊『リュウジ式至高のレシピ』(ライツ社)がベストセラー。フォロワー数はツイッター196万人、ユーチューブ250万人(撮影/写真部・加藤夏子)

 在宅勤務が増え、ダブルワークに興味を持つ人も少なくないだろう。会社の外で通用する自分になるにはどうすればいいのか。「かつては何者でもなかった」有名人の話に貴重な“気づき”があった。AERA 2021年12月27日号は、料理研究家・リュウジさんに聞いた。

【写真】リュウジさんの部屋の窓にダンボール! その理由は?

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 今や出版する料理本がベストセラーを連発し、テレビでも引っ張りだこの料理研究家・リュウジさん。2019年までは年収300万円台の会社員だった。

「最初に就職したのはホテルでしたが、勤務4年目に東日本大震災の影響で閉鎖されました。よし、次は子どもの頃から大好きだった料理の道に行こうと、イタリア料理店に転職。でも、その店の休みは月3日しかなかった。朝9時から深夜0時までの長時間労働が当たり前のブラックな職場でしたね。『このままでは料理が嫌いになる』と思って3カ月でやめました」

 その後、介護関連会社が運営する高齢者専用住宅のコンシェルジュとして転職。7年間、勤めた。介護関連会社では、高齢者の対応以外に日々の記録事務作業も求められた。

「僕は事務が苦手……というか興味がなかったので、ほぼやりませんでした(笑)。でも『施設の食事がおいしくない』という話を聞いたら、志願して月に1度のディナー会を提案するなど、入居しているおじいちゃんおばあちゃんの満足度や生活の質を向上させることには、いくらでも熱心になれた」

 会社のリュウジさんに対する評価は「プラマイゼロ」。

「全部、平均点じゃなきゃダメなんですよね。こっちはめちゃくちゃできるけど、あっちはめちゃくちゃできない人は会社員として評価されません。要するに、ダメダメでしたね」

 リュウジさんが料理の才能で世の注目を浴びるきっかけになったのは、ツイッターに投稿した“バズレシピ”のおかげ。

「最初はアメブロ(サイバーエージェントのブログサービス)に『ピンク色のチャーシューを低温調理で作る方法』などを発信していました。料理好きの人のためのレシピですね。そのうちなんとなくツイッターでもレシピをつぶやくようになって。『大根をから揚げにするとおいしいんだよ』と、白だしで煮た大根のから揚げレシピをツイートしたら“バズった”。100人だったツイッターのフォロワーが一気に3千人まで増えました。『あ~、みんな、こういうのが好きなんだ』とうれしくなり『ペッパーチーズ枝豆』というレシピをアップしたらフォロワー数は5千人になりました」

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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