西武・松坂大輔選手(41)が引退を発表した。同じ「松坂世代」のアスリートたちは、どう感じたのか。AERA 2021年11月29日号で取材した。
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同じアスリートとして球界外の松坂世代は引退をどう見たか。日本中央競馬会(JRA)所属の騎手・高田潤さんは、松坂選手の引退試合を見たあと、こうツイッターに投稿した。
「同い年の自分としては、松坂選手の活躍は非常に刺激になったし励みになりました。(中略)自分も松坂世代として、もう一踏ん張りします」
高田さんが騎手デビューしたのは18歳。9人の同期で今も現役なのは2人だけだ。
「トップ選手は少し成績が落ちるとすぐ引退を選んでしまいがちですが、松坂選手は球速が落ちても、故障しても、なんとかしてマウンドに立つための努力をしてきたと思います。あれだけ苦しんでもまだ頑張っているのを見て、『俺もこんなことでくよくよしてられへんな』と思った同世代は多いだろうし、僕もそう思いました」
引退試合の頃、高田さんはクモ膜下出血で休養中。引退が頭をよぎるなどした。だから余計に松坂選手の気持ちが心に染みたという。治療を終えて無事に復帰を決めた高田さんは、
「僕の頑張りが同世代の誰かの励みになるなら」
とまだまだ挑戦を続けるつもりだ。11月14日の復帰後初戦で、さっそく勝利を挙げた。
本人にしかわからない
フィギュアスケートで2002年ソルトレーク、06年トリノ両五輪に出場した村主章枝(すぐりふみえ)さんも、松坂世代の一人。松坂選手の母校・横浜高校がある横浜市で育ったこともあり、
「松坂さんにはいつもパワーをもらってきました」
西武ドーム(現メットライフドーム)であった始球式で投げて以来、本人とも親交がある。
松坂選手が引退会見で「長くやったわりには思っていたほどの成績が残せなかった」と気持ちを吐露した部分が、村主さんには印象的だったという。