ネット証券の取引ツールには様々な分析指標が表示されるが、初心者には難解だ。スマホ証券のアプリはシンプルでわかりやすい (c)朝日新聞社
ネット証券の取引ツールには様々な分析指標が表示されるが、初心者には難解だ。スマホ証券のアプリはシンプルでわかりやすい (c)朝日新聞社

 預貯金では資産を増やせなくなって久しい。だが投資を始めるには、相応の覚悟がいる。スマホ証券なら少額から可能で、リスク感覚も養える。AERA 2021年9月27日号は、5社を比較しつつ、スマホ証券のメリットとデメリットを解説する。

【図】「スマホ証券」主要5社を徹底比較

*  *  *

 米国と比べれば盛り上がりに欠けるとはいえ、日本でもスマホ証券が初心者たちのハートを射止めつつある。知識や経験がなくても簡単に取引できることが理由の一つだが、他にも様々な魅力があるとファイナンシャルプランナーの高山一恵氏は説明する。

「通常の取引よりも少額から投資でき、取引手数料が割安であることも人気に結びついています。株式投資にチャレンジするうえで乗り越えるべきハードルが大幅に低くなったのです」

 本来、日本で上場している国内企業の株を求める場合、最低でも1単元(100株)は買うのが基本だ。だが、スマホ証券では1株単位でも買える。たとえば1株2千円の銘柄なら、通常は最低20万円の資金が必要なのに、スマホ証券なら1株2千円からの投資が可能だ。また、株数ではなく金額を指定して買うこともできる。

 取引手数料も格安だ。SBIネオモバイル証券、スマートプラス、CONNECT(コネクト)、PayPay証券、LINE証券の主要5社のうち、スマートプラスが提供中のサービスは原則無料だ(手数料が発生するケースあり)。SBIネオモバイル証券の月額利用料制や、CONNECTの無料クーポン配布もユニークでお得な取り組みだ。

「もう一つ、初心者にとって喜ばしいのは、あらかじめ取り扱い銘柄が絞り込まれているサービスがあることです。通常の取引だと対象が広すぎるため、初心者はどれを選べばいいのかがピンとこないからです」(高山氏)

 初心者を意識したサポート体制を整えているのも特徴だ。マンガやゲームで投資を学べるコンテンツや、他の投資家と情報交換できるオンラインコミュニティーを運営する会社もある。

著者プロフィールを見る
大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

大西洋平の記事一覧はこちら
次のページ