辻元清美(つじもと・きよみ)/1960年4月28日生まれ。早稲田大学在学中にピースボートを設立。96年の衆議院選挙で初当選。社民党、民主党、民進党を経て、立憲民主党に所属(撮影/小暮誠)
辻元清美(つじもと・きよみ)/1960年4月28日生まれ。早稲田大学在学中にピースボートを設立。96年の衆議院選挙で初当選。社民党、民主党、民進党を経て、立憲民主党に所属(撮影/小暮誠)

 五輪、コロナ対策、国会運営。あらゆる場面で制度疲労が見える。辻元清美・立憲民主党副代表は、そうした元凶について、多様性を認めない昭和的価値観が政治を支配していることにあると断言する。AERA 2021年9月13日号から。

【写真】菅首相からの寵愛を受けるも、ついに更迭された総務省の高級官僚はこの人

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──オリンピックにおける森喜朗元首相の女性蔑視発言をどのように聞きましたか。

 森元首相は、昭和の全盛期におじさんとして確立された象徴のような人。ジェンダーや人権に対する感覚があまりにも鈍感。無自覚すぎます。オリンピックは森元首相に代表されるような、そんな「昭和おじさん」が決定権者として組織の中枢を仕切っている。だから、森元首相の発言後も、彼を慰留したばかりか辞任後、組織委員会は名誉最高顧問にしようとしたじゃないですか。つまり、世界に対しては首を切っておいて、国内では「オリンピックに貢献した立派な人」という扱いで英雄視しました。

──辻元さんは日本の組織の中枢には、年齢に関係なく「オレの言うことは絶対だぞ」という「昭和おじさん思考」を持つ男性がいて、そのことがあらゆる場面で制度疲労を起こしている原因だと分析されています。

 森元首相の「女は話が長い」というのは「黙ってオレの意見を聞いておけばいいんだ」という意思の表れでしょ。その象徴が、政治ですよ。野党が臨時国会を開けと何度も申し入れているにもかかわらず、自民党はそれを拒否して総裁選まっしぐらでしょ。これ典型的な昭和おじさんたちによる権力闘争じゃないですか。

■「お飾り」と「実力」は別

 派閥の親分で政局の中心にいるのは二階俊博幹事長、麻生太郎財務大臣、安倍晋三前首相ら。そして、岸田文雄前政調会長です。結局、派閥の親分衆の論理だけで次の総理を選ぼうとしている。全員、男。しかも、「昭和おじさん思考」の人ばかり。令和という時代になって、次の総理に声があがるのは男中心だなんて異様ですよ。つい最近まで稲田朋美さんの名前があったのですが、党内でLGBT理解増進法案を通そうとして潰されました。あの法案は超党派であとは自民党さえまとまれば成立するはずでした。つまり、自民党そのものが、多様性を認めない「昭和おじさん」そのものの集団なのだと改めて感じました。

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