※写真はイメージです(GettyImages)
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(AERA 2021年9月6日号より)
(AERA 2021年9月6日号より)

 子育て中の大きな助けが、親たちの繋がりだ。情報交換や預け合い、親のストレス発散にもなってきた。だが、コロナ禍で付き合い方は一変した。物理的な距離に加え、心の距離も生んでいるようだ。AERA 2021年9月6日号で取材した。

【子育て中の親たちが回答】落ち込む、困る…コロナ禍でのメンタルはどう?

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「1年たってもクラスの子どもや親の顔と名前が一致しない」

 東京都港区在住で昨年、1人目の子どもが保育園に入園したメディア関係で働く母親(37)は不安を口にする。例年ならば激戦と言われる港区の0歳児クラスだが、女性の子どもが入園した時には18人定員のクラスに登園していたのはたったの4人。入園希望者自体が少なく、登園を自粛する家庭も多かったと話す。

「保育園に入りやすかったのは、区も待機児童解消にいろいろと策を講じていたので、そのためということもあるとは思いますが、登園者があまりにも少なくてビックリしました」

 この春、1歳児クラスになると定員も増えて25人。今はそれなりに子どもが来ているが、例年ならば行われるはずの親子遠足など、他の家族や先生との交流の機会が一切ない。

「はじめての子どもですし、園で何かあった時に顔見知りが少ないのは不安です」

■どんな人かわからない

 コロナ禍に入園、入学を迎えた家庭では、冒頭の女性のようにコミュニケーション不足に不安を覚えるケースは多い。

 3人きょうだいの真ん中の子が昨年から保育園の1歳児クラスに入園したという渋谷区の女性(46)は、上の子の子育てと比べて気苦労が多いと話す。

「子どもの健康だけ考えて登園させればよかったものが、今は自分の健康も気にしなくてはならない。少しでも鼻水や咳をすれば『あのママ、コロナなんじゃ』という目で保育士や保護者に見られる気がして、気が気じゃないです。コロナ禍で雑談などをする機会もないから、普段のコミュニケーションが取れていない分、一緒のクラスの親御さんがどのような人たちなのかがわからないので……」

 千葉県に住む、小学2年男子の母親(42)は、休校中に小学校生活がスタートし、入学式は6月だった。

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