
元乃木坂46のメンバーで心理カウンセラーの中元日芽香さん。アイドル時代に適応障害に苦しんだ。AERA 2021年7月19日号は、発症から回復までの壮絶な経験、アドバイスなどを聞いた。
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アイドル時代に適応障害を患った元乃木坂46の中元日芽香さん。『ありがとう、わたし 乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで』(文藝春秋)を先月出版した。
中学3年の夏に受けたオーディションで晴れて乃木坂46のメンバーになった中元さんは21歳で同グループを卒業するまで「ひめたん」として過ごした。「めちゃめちゃ楽しかった」アイドル時代の陰には挫折、焦り、プレッシャー、コンプレックス、疲労などもついて回る。
シングルのたびに入れ替わる「選抜メンバー」と「アンダーメンバー」という構造の中に放り出され、なかなか選抜に上がれないまま自己肯定感が削られていくと、過食が止まらなくなり、カメラに映るのも嫌になった。
当初から体に不調は出ていたが、原因がメンタルにあるとわかったのはだいぶ後になってからだ。
「当時はストレスとは自覚していなかったんです。なんだか人といるときに具合が悪くなるな、という感じはありましたが、健康な範囲内のストレスだと思っていました」
アンダーメンバーの中での中心的立ち位置「アンダーセンター」を任されてからは過剰なまでの責任感を自分に課した。真冬のミュージックビデオ撮影を著書の中でこう振り返っている。
<「寒いって言わない」と自分の中で強く誓いました。(中略)「今日ここにいる人たちの中で一番頑張らなきゃいけない」なんて勝手に気負ったりしていました>
この頃から「大丈夫」という言葉を多用し、周囲にバリアーを張るようになったという。そしてある日ついに足がすくんで現場に行くことができなくなった。診断は適応障害だった。
引退して現場を離れると、不調が良くなった。文章を書いて思いを吐き出す、しっかり太陽を浴びる、お笑い番組を見てゲラゲラ笑うことが回復につながったという。自分を救ってくれたカウンセリングに興味を持ち、スクールに通って資格も取得した。
中元さんがそうだったように、なかなか自分で自分の不調に気付くことができないでいる人も多いかもしれない。そんな人に向けて、アドバイスをくれた。
「何かするときの『どっこいしょ』感が大きくなるというか、過去の自分と比較して、前よりエネルギーが必要になったなと感じたら、一つのサインかもしれません」
(編集部・高橋有紀)
※AERA 2021年7月19日号