フェア・ヘルスが解析した対象は、医療機関を受診するなど医療費の発生する対応をした人だ。これだけ大勢が、コロナ後の健康問題で、医療的なケアが必要だったことになる。また、高脂血症など一見、新型コロナウイルスとはあまり関係が無さそうな後遺症が起こる可能性もあることがわかる。

 医療機関を受診するにいたらない人もいると考えられるため、実際には後遺症を体験した人はもっと多いかもしれない。

 後遺症の多さを裏付けるデータはまだある。ノルウェーのベルゲン大学などの研究チームが6月に医学誌「ネイチャー・メディシン」に発表した論文によると、感染者の61%は診断から半年後にも何らかの症状があり、後遺症だと考えられた。これは、ベルゲン市で昨年2月末~4月初旬の間に新型コロナウイルス感染症と診断された人の8割以上にあたる312人について、診断2カ月後と半年後に医療従事者が面談し、症状の有無などについて調べた結果だ。

■無症状でも若者でも

 感染者のうち入院の必要がなく、自宅で療養した軽症や中等症、無症状の247人でも、55%は診断から半年後に後遺症があった。このうち15歳以下の子どもはほとんど後遺症がなかったものの、16~30歳の若者では52%に後遺症があった。自宅療養した若者に多かった後遺症は味覚や嗅覚の異常(28%)、疲労感(21%)、呼吸困難(13%)、集中力の低下(13%)、記憶力の低下(11%)だった。

 研究チームは「入院治療の必要がなかった若者でも、感染の半年後に、集中力や記憶力の問題や、疲労感や呼吸困難が残っているのは心配だ。特に学生にこのような問題が生じれば、学業に支障が出る。若くても感染予防対策をしっかり行い、ワクチンを接種する必要がある」と警告している。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2021年7月12日号より抜粋