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踏み外した“批判の自由” 「表現の不自由展・その後」東京開催が脅かされないために必要な社会環境とは

野村昌二AERA
2020年春に、台湾の台北市現代美術館で開催された「表現の不自由展」で展示された「平和の少女像」(写真:岡本有佳さん提供)

2020年春に、台湾の台北市現代美術館で開催された「表現の不自由展」で展示された「平和の少女像」(写真:岡本有佳さん提供)

不自由展は年内に名古屋と大阪でも開催され、少女像も展示される予定だ

不自由展は年内に名古屋と大阪でも開催され、少女像も展示される予定だ

 東京で、表現の不自由展の会場が変更を余儀なくされ、韓国人監督による映画の上映が中止になった。表現の自由と、批判の自由について考える。AERA2021年6月28日号の記事を紹介する。

【写真】「表現の不自由展」のポスターはこちら

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 表現の自由が脅かされている。

 6月25日から東京都内の民間ギャラリーで開催予定だった企画展「表現の不自由展・その後東京EDITION&特別展」(東京展)の会場が変更されることになった。同展は2019年、愛知県で開かれた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(あいトリ)で激しい抗議を受け一時中止を強いられた企画展「表現の不自由展・その後」を、東京でもより多くの人びとに見てもらおうと企画された。慰安婦をモチーフにした「平和の少女像」も展示されることになっていた。

■東京の会場を変更する

 主催団体の実行委員会によると、開催を公表した翌日の6月4日、嫌がらせのメールや電話が会場ギャラリーに相次いだ。6日からは会場前に街宣車など複数の車が押し寄せ、「反日展に場所を貸すな」「慰安婦像を持ち込むな」などと声を張り上げた。場所は閑静な住宅街。近隣住民から警察に苦情の連絡も。こうした事態を受け、ギャラリー側から実行委に貸し出し撤回の申し出があり、実行委は出品しているアーティストらと協議し会場変更を決めたという。実行委の岡本有佳さんは憤る。

「意見の違いには、お互いが聞く耳を持たないといけない。(一連の抗議活動は)一方的で暴力的です」

 憲法学者の武蔵野美術大学の志田陽子教授は、今回の妨害活動は「批判の自由」を踏み外していると指摘する。

「批判の自由も表現の自由の一環として、全ての人に認められます。しかし、展示を中止に追い込む抗議活動は、批判の対象となった展示物を第三者が見ることができなくなるというアンフェアな状態を生じさせます。これは批判の限度を超えた表現への実力的な妨害です」

 また、妨害者の行動を「表現の自由」だといって放置するのは公平性を欠くと述べる。

「今回はまず、企画展を開催しようとした主催者側の表現の自由があります。それが妨害された時、妨害者側と主催者側、どちらも表現の自由だという『どっちもどっち論』は取れません。主催者側の表現を不可能にさせた妨害者の行動は、表現の自由が許される限度を超えた違法行為として捉えなければなりません」(志田教授)


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