洋上風力開発の第1ラウンドとして、「促進区域」の事業者公募が5月27日に締め切られる。秋田県の2地域で名乗りを上げているのが、延べ10事業者だ。オーステッド(デンマーク)やエクイノール(ノルウェー)など欧州の企業と日本の大手電力、総合商社がコンソーシアム(企業連合)を組んで応募する見通しだ。秋田県で風力発電事業を運営するウェンティ・ジャパンや地元の建設・銀行・電気会社も参加する。

 応募した事業者については、経済産業省と国土交通省が供給価格(120点)、事業の実施能力(80点)などの項目で、240点満点で審査し、10月下旬から11月にかけて事業者を決定する予定だ。

 地域との調整能力(20点)や国内経済(10点)、地域経済への波及効果(10点)など地域への貢献度を評価する項目もあるが、「地方企業の実力が風車部品製造まで届くには時間がかかる」との見方が少なくない。

■東芝がGEと連携発表

 ただ、5月11日、東芝がGEと、ナセルなど基幹設備の共同生産や保守運用で提携することを発表。17日には秋田県が秋田市内で、風力発電関連企業と東芝のマッチングフォーラムを開き、「秋田風作戦」(106団体)のメンバーも参加した。

 会合は非公開だったが、出席者によると、県内28社が鉄鋼部門と電気部品部門に分かれ、どのような部品生産が可能か個別に意見交換をしたという。

 GEはこれまでにも秋田県など同社製の風車を建設した地域で、現地企業との協力関係作りを精力的に模索してきた。「距離」「近さ」はこの業界のキーワードだ。風車の立地現場に近い場所で製造することがコストダウンにつながる。だから地元に拠点を作ることが課題となる。

 最初に提携した由利本荘市の三栄機械は「クイックアダプター」といった新製品を次々と開発した。長さ100メートル余のブレードを運びながら坂を上るとき、急カーブでブレードを「屹立(きつりつ)」させ、運搬車がターンできるようにする装置だ。急峻(きゅうしゅん)な山の多い日本の国土に不可欠な装置ともいえる。GE北東アジアプロジェクト統括マネージャーの山本朋也さん(52)は言う。

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