■170キロの可能性も

「球は速かったですけど、制球は荒れていました。他球団も足で揺さぶろうと盗塁を仕掛けてきました。クイックで対応しようとして最初は制球に苦労していましたが、登板を重ねて修正できるようになったんです。高卒2年目で比較するなら佐々木朗のほうが制球力はいいし、まとまっています。ただ、荒々しさ、球の勢いで言えば、大谷のほうが上かな。どちらも日本人離れした体格の本格派右腕ですが、少しタイプは違うように感じますね」

「二刀流」の大谷は18日、インディアンス戦でリーグトップの14号本塁打を放った。投手としても大リーグの強打者から一目置かれる存在になっている。佐々木朗は「二刀流」ではないが、投手としての潜在能力は劣らない。大リーグのあるスカウトがエールを送る。

「高校時代から注目して見ていますが、間違いなく将来は大リーグで活躍できる逸材だと思っています。彼に足りないのは経験だけです。自分の投球スタイルを変える必要はない。あれだけの速い球を投げられるのは大きな武器だし、170キロも出る可能性が十分にある。ロッテのエースではなく、日本球界のエースを目指してほしい」

 パ・リーグには、大リーグ・ヤンキースで6年連続2桁勝利をマークした楽天田中将大(32)ら好投手が多い。投げ合うことで多くのことを学べる。対峙(たいじ)する相手打者もプロでやってきたプライドがある。目の色を変えて向かってくるだろう。佐々木朗は苦い経験も味わうことになるが、全てが大きな糧になる。

 令和を代表する投手になれるか。佐々木朗には伸びしろしかない。(ライター・牧忠則)

※数字などは20日現在

AERA 2021年5月31日号より抜粋