検査をするということは、1500g未満で生まれると脳にリスクがある、ということに、そのときは全く気づきませんでした。それよりも、初めて聞く「退院」という言葉がうれしくて、MRIはただの通過点と捉えていました。

■退院前、面談の日

 検査から数日後のこと。主治医のター先生に、「退院後の生活の話がしたいので、ご主人の都合のよい日を教えて下さい」と言われました。

 満期産で生まれた赤ちゃんとは全く違う3カ月を過ごした子どもたちです。面談と言われても違和感はありませんでしたが、一瞬だけ、MRIの結果はどうだったのかが頭をよぎりました。

 ……何日間も何も言われないのだから、大丈夫だったんだよね。

 面談は、2日後の16時に決まりました。偶然にも自宅近くの海岸で花火大会が予定されている日でした。

「ゆうくん、面談の後、仕事に戻らないよね? しばらく外出できなくなるから、終わったら花火いこうよ」

 さらにこの日は、子どもたちのベッドが届く日でもありました。どうしても真っ白なものがほしくて、やっと見つけたベビーベッド。在庫が1台しかなかったので、2台揃い次第、届けてもらうように手配していました。

 面談の日の午前中、業者にベッドを組み立ててもらい、マットレスやオルゴールメリーを取り付け、子どもたちが退院して来る日を思い浮かべてわくわくしました。

 もうすぐ、家族4人での生活が始まるのです。

■脳全体に白い点があった

 ところが、16時になり、夫と二人で面談室へ通されたとたん、ター先生の普段とは違う雰囲気を感じました。目の前にはドクターが2人と看護師長、さらに子どもたちそれぞれの担当看護師さんが座っていましたが、誰も笑っていませんでした。

「5月にお生まれになってから今まで、順調に大きくなってくれたと思っていたのですが、今日は先日のMRIの結果をお伝えしなければなりません。ゆうちゃんなのですが……」

 そう言いながら、ター先生は長女のMRI画像を出しました。脳全体に大きな白い点があり、素人でも正常でないことがわかりました。

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何らかの運動障害が起こる