「脳室周囲白質軟化症…ちょっと難しい名前なのでPVLと呼ばれているもので、簡単に言うと、大人の脳梗塞のような状態を起こしています。この白く抜けているところが全てPVLの部分です」

 長女こそ問題なく育っているはずであり、初めは何を言われているのかわかりませんでした。

■悲鳴を上げて泣いていた

「ゆうちゃんは今後、何らかの運動障害が起こると思われます」

 ドン!と衝撃が来ました。

 運動障害? 障害が残る? 

 私のせいだ。

 私が満期までお腹で育てられなかったせいだ。

 悲鳴を上げて泣いていたと思います。

 すでにボロボロでした。面談室には私の声だけが響き、沈黙が続いていた中、突然夫の声が耳に入って来ました。

■二人で育てていかれます

「あの、ぴぴではなく、ゆうなのでしょうか?」

「ぴぴちゃんはなかなか呼吸が安定しなかったので、実はこの病気を心配していたのですが、これがぴぴちゃんの画像です。比べてしまって申し訳ないのですが、ゆうちゃんの画像にある白い点は見当たりません。ぴぴちゃんは問題なく育ってくれると思います」

「ゆうは、命に関わりますか?」

「この病気で命を落とすことはありません。むしろ長く付き合っていくものだと思ってください。今はお二人の身体の状態に全く差はありませんし、治療できることもありません。これから成長するにつれ、少しずつ身体に硬さを感じるようになっていくと思われます。症状が出はじめたら、麻痺に有効と言われるリハビリをしていくことになります」

 検査当日に告知されなかった理由が、やっとわかりました。

「二人は同じ学校に通えますか?」

「地域の学校に通えるかは知的レベルも関係するので、今はまだ何とも言えません」

 せっかく双子として生まれてきたのに、二人は別々の場所で育つことになるのだろうか。

 つい数時間前まで、早産児にこんな運命があることも知らずに浮かれていた自分が情けなく、泣くことしかできなかった中、再び夫の声が聞こえました。

「よくわかりました。病気でも何でも構いません。二人ともかわいくてたまらないんです。大丈夫です。二人で育てていかれます」

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二人ともかわいくてたまらない。大丈夫です。